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トランプ大統領を生んだ米国の闇 現地リポ

2018年1月18日 23:44

トランプ大統領の就任からまもなく1年。現地で取材を続ける村尾キャスターが、アメリカ・ペンシルベニア州から伝える。

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私は、アメリカ北東部、ペンシルベニア州のモネッセンという町に来ている。この町は、かつて鉄鋼業が盛んで活気にあふれていたが、今では荒れ果てた建物が並び、廃虚と化している。実は、こうした地域に住む白人労働者たちが、トランプ大統領誕生の原動力となった。

今、この街に立って感じるのは、かつての偉大なアメリカを支えたものの衰退だ。産業で言えば鉄鋼業。それとともに白人の労働者たちが取り残されてしまったということを感じる。

ゆとりを失った人たちから聞いたのは、「中国のせいだ」「不法移民のせいだ」という言葉。これらの言葉に応えたのがトランプ大統領の政策だった。

この街の空気を吸えば、トランプ氏に賭けてみよう、とにかくトランプ氏を信じたいと思う人々が出てくることは、実感として理解できる。

そしてトランプ大統領就任から間もなく1年となる今、反トランプを掲げる若い市長が誕生した一方で、今でもトランプ大統領を強く支持する人たちがいる。

ここで私が強く感じたのは、ここまでこの町を放置しておいたのは誰なのか、ということだ。実は、根強いトランプ支持の背景には、トランプ以前の政治体制に対する不満があるのではないか。トランプ大統領は今のアメリカが抱える問題を私たちの前に浮き彫りにした。

今、問われるべきは、トランプ大統領の政策や言動もそうだが、トランプ大統領を生んだアメリカの有権者が強い不満を抱くそれまでの政治体制のあり方ではないか。