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岐路に立つコンビニ市場

2018年1月3日 19:16
岐路に立つコンビニ市場

コンビニエンスストア市場が岐路に立たされている。

これまで右肩上がりで成長を続けてきた国内のコンビニ市場。日本フランチャイズ協会の調査によると、2016年、コンビニエンスストアの既存店の売上高は0.5%増と堅調に推移、2017年に入っても微増が続いていた。

しかし、その後は一転。去年6月から11月まで6か月連続のマイナスに陥った。天候不良の影響もあったものの、スーパーやネット通販との競争が激しくなっていることが伸び悩みの要因。

また、現在全国にあるコンビニの店舗数は、5万5000店超と飽和状態に近くなっていることも背景にある。

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そこで、コンビニ各社は集客につなげることを狙い、異業種とコラボする動きが目立ち始めた。

セブン―イレブンは、ソフトバンクグループと連携し、コンビニ店舗でのレンタル自転車のサービスを始めた。2018年度中に約1000店で計5000台を設置する計画を立てている。

一方、ファミリーマートも、今年、立て続けに異業種とコラボした店舗を出店する予定。2月にはフィットネスジムとの併設店を、3月にはコインランドリーを併設した店舗を、それぞれ都内にオープンする。

成長の鈍化が鮮明になってくる中、コンビニ各社はこうした新たなサービスを提供することで来店客数の増加に結びつけたい狙い。

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一方、コンビニ業界において深刻さを増しているのが「人手不足」。この状況をなんとかしようと、大手各社は新型店舗の開発に乗り出している。

ローソンでは2018年の春から、国内のコンビニでは初めて深夜帯のレジを一部の店舗で無人化する。スマートフォンの専用アプリをダウンロードしておくと、商品のバーコードをスマホに読み取らせるだけでネット上で自動的に決済されるというもの。

さらにローソンは、未来の買い物のシステムの開発にも乗り出している。商品をもったままゲートを通過するだけで、商品の電子タグが瞬時に読み取られ決済できるシステム。

レジの無人化については、他の大手コンビニ各社でも研究、開発が進められている。電子タグについては、経済産業省主導のもと、2025年までに共同で導入する方針。

一方、セブン―イレブン・ジャパンは、従業員が効率よく働くことができる新たな店舗を去年12月にオープンした。この店舗では、商品の補充や入れ替えなどを短時間でできるように全ての陳列棚を引き出せるタイプにした他、従業員がレジ袋をかがまずに取れるよう工夫をこらしている。

セブン―イレブンによると、こうした取り組みで1日あたりの延べ作業時間を約5.5時間短縮できるという。

また、路面型の太陽光パネルや水素燃料電池も併設し、外部から調達する電力を約3割削減できるという。

セブン―イレブンは新たな店舗を次世代型モデルとして位置づけ、今後、全国に普及させる方針。

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コンビニ業界での経営環境が厳しさを増す中、さらに成長するためには、経営の効率化も求められている。