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英国EU離脱…カギは10月、実りの秋に?

2018年1月1日 23:24

2019年3月29日にEU(=ヨーロッパ連合)から離脱するイギリス。2018年は、離脱後の両者の関係を形作るこれまで以上に重要な1年となる。

イギリスとEUは2017年12月、イギリスが支払う未払い金の額など離脱条件で大筋合意。2018年の年明けから交渉は第2段階に移ることになった。第2段階では、「離脱に伴う激変を緩和するための移行期間の設定」や、「通商など離脱後のイギリスとEUの関係」が話し合われる。

移行期間についてイギリスは「2年程度」を求めていたが、EUのヨーロッパ委員会は2017年12月20日に今後の交渉方針を示し、「移行期間は2020年12月末までに限定すべき」とした。イギリスの要求より短くなる可能性はあるものの、移行期間自体は設定されることになりそうだ。

産業界からは歓迎の声が上がっている。一方で、通商など離脱後の関係をめぐる交渉は難航が予想される。

EUは今年3月の首脳会議で、離脱後の関係についての交渉方針を採択する予定で、交渉が本格化するのはそれ以降となる。移行期間が終わるまでにイギリスとEUがFTA(=自由貿易協定)を発効させることができなければビジネスは大混乱に陥るため、時間との戦いが続くことになる。「今後数か月の交渉や決定に全てがかかっている」との指摘も出ている。

一方、2017年6月の総選挙で議席を減らしたことで、メイ首相の求心力は低下したままだ。メイおろしの動きは出ていないものの、与党・保守党内ではジョンソン外相ら強硬派とハモンド財務相ら穏健派がお互いをけん制しており、メイ首相は常に両者のバランスを取りながらの政権運営を余儀なくされている。第2段階の交渉の進展次第で、メイ首相が党内を抑えきれなくなるリスクは残る。

イギリスのEU離脱は2019年3月29日だが、イギリス・EUともにそれぞれの議会承認手続きがあるため、協議は2018年10月までに終える必要がある。果たして「実りの秋」とすることができるだろうか。