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超巨大地震へ備えを~南海トラフ・千島海溝

2018年1月1日 23:54

東日本大震災からまもなく7年。国は、次に起きる、東日本大震災と同じような「超巨大地震」への警戒を続けている。

今後30年の間に70%の確率で起きるとされ、太平洋側の広い地域を巨大な津波が襲い、最大32万人の死者が出ると想定される「南海トラフ地震」をめぐっては、去年11月から、発生の可能性が普段より高まった場合に、気象庁が臨時の情報を発表することになった。

臨時の情報は、東海地方の沖合から宮崎県の日向灘にまで広がる南海トラフ地震の震源域で一回り小さいマグニチュード7以上の地震が起きたり、南海トラフの片側でマグニチュード8クラスの大きな地震が発生し、今後、もう片方にも連動する恐れがあったりする場合などに発表される。

ただ、この気象庁が出す臨時の情報は、いつ、どこで地震が起きるかを具体的に示すものではなく、あくまでも、普段より地震が起きる可能性が高まっていることを国民に伝えるのみで、「地震予知」を前提としたものではない。従って、これまで国が、唯一予知できるとしてきた「東海地震」について、新幹線を止めたり、高速道路の通行を規制したりすることにつながる「警戒宣言」は、今後発表されないことになった。

これは国が公式に「地震予知はできない」と認めたことになる。自治体や鉄道会社からは、何をきっかけに防災対応を始めるべきか戸惑いの声も聞かれていて、国は今年中に、地震予知を前提としない新たな防災対策を取りまとめることにしている。

■北海道沖でもM9級の恐れ

発生が懸念される「超巨大地震」は、南海トラフだけではない。先月、政府の地震調査委員会は、北海道の千島海溝沿いでも東日本大震災クラスの超巨大地震が起きる可能性があるとの調査結果をまとめ、その確率は、今後30年で最大40%に上ると発表した。

千島海溝沿いの超巨大地震は、平均で340年から380年の間隔で発生しているとして、前回の17世紀の地震からすでに400年程度たっていることから、「切迫している可能性が高い」と説明している。

今回の政府発表の根拠となる沿岸の「津波堆積物」を長年調査してきた北海道大学の平川名誉教授は、巨大津波は、北海道の十勝・根室といった道東の沿岸だけでなく、苫小牧や噴火湾、さらには、青森や岩手などの東日本大震災の被災地へも、再び襲来する恐れがあると指摘している。

国はこの冬にも、千島海溝沿いで超巨大地震が起きた場合に、沿岸を襲う津波の高さや、揺れの強さなどを想定し、公表することにしていて、沿岸の市町村は、津波ハザードマップの改訂などを含めた、これまで以上の防災対策を迫られることになりそうだ。