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広がる「年末年始、休業します!」のワケ

2017年12月27日 20:53

今年、大みそかや元日を休みにするという飲食店やサービス業が増えている。年末年始はかき入れ時という印象も受けるが、なぜあえて、休むことを決めたのか。

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【年末年始を休業に…外食店でも】
今年も残りわずか。仕事終わりの一杯で盛り上がる会社員が集うのは大手居酒屋チェーンの「旬鮮酒場 天狗」。週末には200人ほどの予約が入るこちらの居酒屋。店員は注文に追われて常に動きっぱなし。

忘年会から新年会まで一年のうちで最も忙しい時期を迎えているが、店長に予約の状況を見せてもらうと、31日に関しては予約が一切、入っていない状況となっている。さらに、従業員のシフトも31日が全員休みとなっている。多くの客が期待できる大みそかを休みにしたのだという。

天狗などを運営するテンアライドでは、創業以来初めて120ある全店舗で今年から大みそかの営業を取りやめる。この決断の背景には「働き方改革」があった。

テンアライド関東中央総武事業部・赤間大助部長「社員の労務環境の改善というところが一番でして、売り上げに関しては多少痛みは伴いますけど、そこでリフレッシュして、また来年から頑張ろうと」

売り上げを多少犠牲にしてでも従業員のモチベーションをあげることが、働きやすい環境をつくる上で大切だという。利用するお客さんはどう感じているのか?

客「働く人も飲みたいでしょうから、そういうの(大みそか休業)があっても良いと思います」

来年は大みそかだけでなく元日も休みにし、2連休とすることも検討しているそうだ。

さらに外食大手「大戸屋」でも直営店のおよそ半分、80店舗で大みそかと元日を休みに。従業員の心と体の健康を保ちたいというのが狙い。

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【広がる“年末年始、休業”の動き】
年末年始を休みにする動きは飲食店にとどまらない。最新設備をそなえた住宅メーカー各社のモデルハウスが集う東京都新宿住宅展示場。

「大和ハウス工業」では業界に先駆けて住宅展示場をお正月3が日、休みに。これにより全国の営業スタッフなどおよそ4000人が休めるという。

大和ハウス工業東京本店住宅事業部・滝沢忍さん「子供が4人いまして、時間取ってあげられるのではないかと思って喜んでいます」

一方、他のメーカーは多くの来客が見込めるとして、新年は2日から営業を行う。ライバルが営業を続ける中、それでも休みにするのは、住宅メーカーならではの理由があった。

大和ハウス工業東京本社人事部・菊岡大輔次長「住宅の営業の社員自らが、お正月という非常に大切な時期に家族と一緒に過ごしてほしい」

また、厳しさを増す学生の採用競争も意識しているという。

大和ハウス工業東京本社人事部・菊岡大輔次長「住宅業界においても『働き方改革』というものを真剣に考えているということを、(就職活動する)学生の皆さんに伝わっていけばいいなと」

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【休業拡大を模索する企業も】
お正月らしい飾り付けが施され、昆布や数の子などお正月の料理には欠かせない食材が並ぶ「伊勢丹新宿本店」。正月用の食材を買い求める多くのお客さんでにぎわっている。

「三越伊勢丹ホールディングス」では、都心の店舗を中心に去年から1日と2日は休業にしている。今回は正月3が日のすべてを休業にすることも検討していた。しかし今回は出店している店との調整もあり見送ることになった。

伊勢丹新宿本店・中野健一営業統括部長「(従業員が取引先を休みにすることで)お休みでリフレッシュし、そのリフレッシュした気持ちをお客様に還元できればと思います」

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年末年始を休みにする動きは今後ますます広がりそうだ。