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ハワイで広がる不安 北ミサイルへの警戒

2017年12月15日 13:53
ハワイで広がる不安 北ミサイルへの警戒

11月、北朝鮮がアメリカ全土を攻撃できるとするICBM=大陸間弾道ミサイルを発射した。年末年始に日本人が多く訪れるハワイでも、ミサイル発射に対する警戒を強めている。


■響くサイレン 広がる不安

毎年、多くの観光客が訪れるハワイ・ワイキキビーチ。今月1日にある異変が起こった。ビーチに響き渡るサイレンの音―北朝鮮のミサイル攻撃を想定して、初めて実施された警報サイレンのテストだった。日本人観光客はこう話す。

「こっちにきてまで北朝鮮のこと考えなきゃいけないと思うと、旅がゆううつです」

そして、アメリカ人観光客も――

「こわいですね。でも核爆弾だったらサイレンを鳴らしても意味があるのでしょうか。どこに逃げればいいんでしょう」

一方、事前に知らなかった人はこう話していた。

「部屋にいたんですけど、何のサイレンだろうと思ってちょっと驚きました」


■感じる“ミサイルの脅威”

11月29日に、アメリカ全土を攻撃できるとするICBM“火星15型”の発射実験を行った北朝鮮。度重なるミサイル発射を受け、警報のテストがハワイ州全土で行われた。警報は約1分間、鳴り響いた。

ハワイ生まれのカーラ・ケリイフウマルさんの家庭でも異変が。この日、テレビ画面も突然切り替わった。テレビ・ラジオでも緊急放送のテストを実施したのだ。カーラさんはこう話す。

「ちょっとこわいですよね。テレビの指示は“床に伏せて室内にとどまるように。もし屋外にいる場合は室内に逃げるように”とありました。知ることができて良かったです」

以前から自然災害に備えて非常用の缶詰などを用意していたカーラさんだが、最近はミサイルの脅威が気になるという。

「私がこれだけのものを準備する理由は、緊急事態というのは実際に起こるものだからです」


■非常食 もはや「欲しい」ではなく「必要」に

今、ハワイではこのように非常食などを買い求める人が増えているという。サバイバルグッズを扱う店では、最近、「ミサイルに備えて何を準備しておくべきか」と客に聞かれることが増えたという。店員のポノさんはこう教えてくれた。

「脅威は実際に起きていて、もはや“欲しい”ではなく“必要”となっているのです。今年の夏以来、売り上げは全体で10%ほど上がりました」

ただ、ハワイ州政府は現時点で脅威は低いとみている。しかし、住民や観光客の意識を高めるために、テストが必要と判断した。ハワイ州緊急事態管理局のミヤギ局長はこう語る。

「様々な理由から、北朝鮮からのミサイルの脅威はとても低いと考えています。しかし、我々はその脅威を無視できず、準備をする必要があります。きょうのサイレンテストで分かった課題を、観光客などからも聞いて次に生かしたいと思います」

ハワイ州は今後、毎月初めに同様のテストを実施して、注意を呼びかけるとしている。