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緊張続くエルサレム…垣間見える“本音”も

2017年12月10日 7:13

 アメリカのトランプ大統領が中東エルサレムをイスラエルの首都と認めたことで、現地では9日も衝突で100人以上がケガをするなど、緊張が続いている。一方で、懸念されていた激しい衝突は起きていない。その背景を取材した。(可児智之記者)

 エルサレムでは9日もパレスチナ人がトランプ大統領の決定に抗議した。しかし、集まった人々はイスラエルの治安部隊に排除され、予定していたデモ行進はできなかった。大規模な激しい衝突が起きない背景には、イスラエルが力でパレスチナ人の怒りをねじ伏せていることがある。

 一方で、別の事情も―

 「こちらのお店はパレスチナ人がオーナーだが、パレスチナの商品と並んで、イスラエルの商品も扱っている」―エルサレムではイスラエルの商品を扱うパレスチナ人の店が少なくない。

 パレスチナ人店主は「ここは我々の土地だ。すべてパレスチナ人のものだ」と話すが、トランプ大統領の決定について尋ねると「それは政治の話だ。何も変わらない。私はただ家族のために自分の仕事をしているだけだ」―政治よりも日々の生活が大事、そんな気持ちが垣間見えた。

 また、連日の抗議行動にパレスチナの若者からは「石を投げることが正しいやり方とは思わない」と冷ややかな声も出ている。ただ、パレスチナ人の怒りが強まっているのは事実で、現地では緊張が続いている。