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なぜ今?納豆消費“過去最高”のワケ

2017年11月10日 20:17
なぜ今?納豆消費“過去最高”のワケ

 去年、納豆の消費額は過去最高を記録したが、今年はそれをさらに上回る勢いとなっている。私たちの食卓に身近な納豆。昔からある食品だが、なぜ今その人気が高まっているのだろうか。そのワケを取材した。

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 10日、農林水産省が主催した全国の名産品を販売するイベントで、納豆を販売するブースには多くの人だかりが。販売直後から大量に買っていく人の姿もあった。この納豆をめぐり、最近、今年の納豆の消費額が過去最高の2184億円を上回る勢いになっているというニュースもあった。この話題は1日で500件近いツイートを記録。

 ネットの声「家の冷蔵庫にも常にあります」「俺も最近毎日食ってるな」「なんで今さら…」

 街で聞いてみても――

 スーパーの客「毎日食べてます、だいたい1日に2回ぐらい」「結構毎日納豆食べるんですけど」「週4は食べていると思います」

 なぜ今、納豆の人気が高まっているのだろうか?

■納豆専門店も過去最高の売り上げ

 都内の納豆専門店「せんだい屋 池尻大橋店」(東京・世田谷区)では、この時期にぴったりの温かい「納豆ぶっかけそば」(480円・税別)や、ひじきやわかめが入ったものなど8種類の中から2つが選べる「納豆食べ放題定食」(790円・税別)が人気だという。さらに店の外には納豆の自動販売機があり、いろんな種類の納豆が自動販売機で買える。営業時間外にも仕事終わりのサラリーマンらが納豆を購入していくという。

 利用客「栄養が取りやすいかなと」「健康にいいので」

 利用客からは健康のために食べているという声が。

 せんだい屋 池尻大橋店・幸田公利店長「(Q:納豆の売り上げというのは伸びているんでしょうか?)そうですね。去年の売り上げが店舗としても最高の売り上げを記録しました。それよりも(今年は)少し伸びている状況になっております。健康志向の女性の方に選んでいただけてるのかなと思っています」

 鉄分やカルシウム、食物繊維など、さまざまな栄養を含む納豆。健康志向の高まりが、人気の理由のひとつのようだ。

■「食べ方」も広がる

 納豆の食べ方も広がりを見せている。こちらのメーカーでは――

 ミツカン広報部・花園奈央子さん「サラダをおいしく食べられる納豆という新しい商品になっております」

 今年9月に発売した納豆は、たれにゴマが使われていて、サラダにも合うようにつくられているという。

 花園さん「納豆というとご飯にかけて食べるという方が一番多いんじゃないかなとは思う。新しい楽しみ方というのをもっと多くの人に知っていただきたいなと思っています」

 新商品の売れ行きは好調だという。

■意外な理由も?

 そして、納豆の生産者でつくる全国納豆協同組合連合会は意外な理由もあげている。

 全国納豆協同組合連合会・松永進専務理事「野菜が高いと納豆が売れるというのはありますね。野菜不足、食物繊維がとれないとか、そういうこともあると思うんですけれど、納豆そのものが年間通して安定した値段で買えますので」

 野菜の高値が続く中、納豆は価格が安くて安定していて、野菜の代わりとして購入されているのではないかと分析している。

 他にも納豆消費が増えている理由として、納豆連の松永さんは「簡単で便利な納豆が一人で食事をする“孤食”に応えることができているのでは」と話していた。

■国内にとどまらない「納豆人気」

 この納豆人気は国内にとどまらない。韓国の大手食品メーカーで製造されている納豆は、納豆特有のにおいは抑え、味はあっさりとしていて、韓国の人の味覚に合うようにつくられているという。このメーカーによると、韓国の納豆の市場規模は日本円で2006年の約2.5億円から、去年には約25億円と10倍に拡大していて、健康にいい食品として注目されているという。

 納豆の消費量については伝統的に東北が多く、近畿が少ない傾向がある。その意味では、まだまだ伸びしろがある。納豆だけに粘り強い宣伝活動が期待される。