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トランプ大統領 訪韓の注目ポイントは?

2017年11月7日 19:24

 6日、華やかな晩さん会で日本滞在をしめくくったトランプ大統領。日米首脳の“親密さ”に世界が注目した。しかし、7日に訪問した韓国では訪問に反対する集会も。北朝鮮への対応に不可欠な日米韓の連携だが、今、どういう状況になっているのか?小西美穂・日本テレビ解説委員が解説する。

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――韓国では日本とかなり雰囲気が違うようだが?

 日本では、安倍首相と一緒に過ごした時間がとにかく長くて、2人の仲の良さが印象に残った。トランプ大統領と安倍首相は、到着直後のランチから始まって4度の食事と、ゴルフまでともにした。

 好き嫌いがはっきりしているトランプ大統領に安倍首相はなぜ好かれたのか?晩さん会でこんな場面があった。


 安倍首相「アイゼンハワー大統領は『大統領になると嫌なやつともテーブルを囲まなければならないが、ゴルフは好きなやつとしかできない』と語ったそうです。さらに2度ゴルフをするのはよほど好きなやつとしかできない。ではないでしょうか、大統領」

 トランプ大統領(ニッコリ)


 晩さん会ではこの後、トランプ大統領があいさつしたが、去年11月にニューヨークで安倍首相と初めて会った時のエピソードを明かした。

 実はこの会談、トランプ大統領は適切なタイミングではないから断ろうとして、安倍首相に電話をしたそう。でも留守電だったという。すでに安倍首相がニューヨーク行きの飛行機に乗っていて、結果、実際会うことにさせてもらったということ。こうしたことから、トランプ大統領は安倍首相について「非常にタフで積極的な政治家」だと。そこがシンゾーのいいところだと評価した。

 首相自身も別の場で、好かれた理由を周辺に聞かれ、「オープンに率直に言うからいいのかな」と話している。しかし、ここが重要だが、トランプ大統領はさっそく、ツイッターでこうつぶやいた。―「日本訪問と安倍首相との友情で、偉大な我が国に多額の利益がもたらされるだろう」「軍事とエネルギーの分野で大量の受注がくるだろう!」

 アメリカの利益一辺倒にならないように、安倍首相は、友好関係を築くことも大事だが、国益を守るため、言うべきことは言うということも国のトップとして求められていく。

――トランプ大統領は、韓国の大統領とはどうなのか?

 韓国では7日、ワーキングランチをした後、首脳会談と晩さん会が予定されている。日本と違って韓国は1泊だから、会っている時間が短い上、食事も文大統領とは2回だけだ。

 この滞在期間が短いことについて、韓国の有力紙は「日韓の外交力の格差を示す」「韓国がただの経由地になってはならない」などと指摘していて、韓国国内でも日本との差に冷ややかな見方もある。

――韓国での首脳会談でも北朝鮮問題が最大のテーマか?

 そうだが、安倍首相との会談と違うのは、アメリカと韓国の間には温度差があるということ。

 韓国の文在寅大統領は「いかなる場合も武力衝突があってはならない」と、あくまでも「対話」による解決を目指すべきだとしている。韓国はアメリカの核の傘に守られた同盟国なので、米韓の同盟は強化したいはずだが、仮に軍事衝突に陥れば、隣国・韓国には甚大な被害が出る。また、文大統領は対話政策を掲げて当選しているわけだから、難しい立場に立たされている。

――訪韓の注目点はどこにあるか?

 トランプ大統領は8日、韓国の国会で演説する予定だが、これは一連のアジア歴訪で初めて行う公式のスピーチで、金正恩委員長に向けたメッセージでもある。この国会での演説が注目ポイントだろう。北朝鮮への厳しい姿勢を強調するものとみられるが、どの程度厳しいトーンになるのか、重要なスピーチになる。