×

死去から1年…タイの前国王、きょう火葬

2017年10月26日 18:54

 去年、死去したタイのプミポン前国王。日本時間26日夜、火葬の儀が行われる。国民が絶大な信頼を寄せていた前国王の葬儀に、国全体が悲しみに包まれている。

 夜明け前のタイ・バンコク。座り込んだ黒い服を着た人、人、人。手には黄金に輝く額縁に入った写真を持っている。そこには、去年、死去したタイのプミポン前国王が写っている。

 プミポン前国王は、70年にわたり人々の生活向上に尽力したため「国民の父」と慕われた人物。また、クーデターなど政治の混乱が起きると自ら仲裁を行い、国のまとめ役として大きな役割を果たした。国民が絶大な信頼を寄せていた国王だ。

 去年10月の死去から1年かけて葬儀の準備が行われ、いよいよ26日、火葬の儀が執り行われるため、人々は最後のお別れをしに来たのだ。葬儀所周辺は黒い服を着た多くの人たちで埋め尽くされ、この日だけでタイ全土から数十万人が集まるとされている。

 市民「タイ人の心はプミポン前国王と共にあります。かけがえのない存在でした」

 金色の装飾が施され、壺のような形をした縦長の棺(ひつぎ)。日本時間26日午前11時ごろ、葬列が動き出した。

 1時間後、姿を現したのは、大きな木製の車。細部まで黄金に光り輝いている。200年以上使われているこの車で、棺はさらに運ばれていく。

 そして、約3時間後、見えてきたのは黄金に輝く建物。今回の葬儀のためだけに約10か月かけて造られた火葬施設だ。建設費用は約17億円。このあと、この場所で執り行われる火葬の儀には、日本の秋篠宮ご夫妻など40か国以上の要人が列席する。

 現在、軍が主導する軍事政権下にあるタイ。精神的支柱だった前国王の葬儀が終わり、喪が明けると、民主化を求める声が強まり、政治的対立の再燃も懸念されている。