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ミャンマーで迫害「ロヒンギャ」の難民は…

2017年10月6日 15:21
ミャンマーで迫害「ロヒンギャ」の難民は…

 ミャンマーでは少数派のイスラム教徒「ロヒンギャ」。迫害を受けて、隣国のバングラデシュへ避難するロヒンギャが相次ぎ、その数は50万人を超えている。彼らは今、どのような状況に置かれているのだろうか。

 先月、バングラデシュ南東部・テクナフ。ミャンマー国境近くのこの町には、この日、大きな荷物を持つなどした大勢の人の姿があった。ミャンマーから逃れてきたロヒンギャたちだ。

■ロヒンギャとは

 ロヒンギャとはミャンマー西部に住むイスラム教徒の人々のこと。ミャンマーは人口の9割を仏教徒が占めていて、ロヒンギャは少数派だ。このため、彼らは、国境を接するバングラデシュから来た不法移民だとして迫害を受けてきたとされている。

 川を隔てて、すぐ向こう側がミャンマー。バングラデシュ側からは白い煙があがる様子が確認できた。ロヒンギャは船に乗って、ここにたどり着いていた。ミャンマーから逃げてきたロヒンギャの男性は「昼に出ると軍に撃たれるから夜に逃げてきました」と語る。

■大量避難の原因は?

 このロヒンギャの大量避難の直接的な原因となったのは、8月に起きたロヒンギャの武装勢力と治安部隊との衝突だ。武装勢力の掃討作戦に乗じて、治安部隊などによってロヒンギャの殺りくなどが行われたのではと疑われている。命からがら逃れてきたロヒンギャたち。難民キャンプで暮らすロヒンギャの女性は「(ミャンマーの治安部隊に)家から追い出され家を燃やされました。周りの人は銃で撃たれてしまいました」と話す。

 バングラデシュ南東部のコックスバザール周辺では、いくつもの難民キャンプがつくられている。キャンプでは配給なども行われているが、そこには長蛇の列が。受け取っても、遠く離れたテントまで長い時間をかけて持ち運ぶことも。整備されたキャンプでは収容しきれず、道路の脇など劣悪な環境で暮らす人も少なくない。

■難しい立場にあるスー・チー氏

 ロヒンギャをめぐる問題に対し、難しい立場にあるのがミャンマーの事実上トップ、アウン・サン・スー・チー国家顧問だ。この問題に対して明確な姿勢を示してこなかったため、国際社会から非難の声があがっていた。

 スー・チー氏「ミャンマーは国際的な調査を受け入れることを拒まない」

 スー・チー氏は先月、演説で初めて、この問題について発言し問題解決に向け取り組む姿勢を示したが、ミャンマー国内の世論から理解を得るには至っていない。

 演説のあと、ミャンマー軍は一部の外国メディアをロヒンギャの居住地域に案内した。軍がロヒンギャに人道支援を行っていることなどをアピールする一方で、ロヒンギャの武装勢力がヒンズー教徒などを殺害したとも主張。軍のロヒンギャに対する根本的な態度は変わらないままだ。

 ミャンマーで、そして難民キャンプで過酷な状況に置かれるロヒンギャ。問題解決への道筋がはっきりと見えない状況が続いている。