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「座りすぎ」でガンも?健康リスク解消法は

2017年10月6日 19:48
「座りすぎ」でガンも?健康リスク解消法は

 デスクワークなど、座りすぎが及ぼす体への影響が話題になっている。ある研究によると、日本は1日に座っている時間の平均が7時間と世界で一番長いという。座りすぎは、健康にどんな影響があると考えられているのか。立ったまま仕事のできる机や座ったままでできる運動など、対策とともに紹介する。

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 埼玉・所沢市の早稲田大学・所沢キャンパスの研究室では、学生たちがイスに座らず、立ってパソコンに向かっていた。「立っていても、そんなにすごく疲れが出ることもない」という。「座りすぎ」にならないように立って作業をしていたのだ。

 早稲田大学・スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授は──

 岡浩一朗教授「最近の研究で分かってきたことは、例えば体を動かす運動をしていても、それ以外の時間、ずっと座っていると健康へのリスクがすごく高いと」

■座りすぎの健康への影響は

 私たちは1日にどれくらいの時間を座って過ごしているのか。

 50代女性「事務の仕事でずっと座りっぱなしです。7時間勤務なんですけれども、ほぼ7時間座っています」

 20代女性「(仕事中に)6時間くらいは座っていると思います」

 オーストラリアの大学の研究によると、日本は1日に座っている時間の平均が7時間と、世界で一番長いという。座りすぎによってどんな影響があると考えられているのだろうか。

 岡浩一朗教授「まずは肥満・糖尿病といったものになりやすくなります。さらにはその先にある心臓病、脳梗塞、それによって亡くなるリスクが高くなる」

 1日に11時間以上座る人は、4時間未満の人より死亡リスクが40%高まるとのオーストラリア保健省などの研究も。理由は──。

 岡浩一朗教授「ずっと座りっぱなしで足の太ももの大きな筋肉を使わない。非常に血の流れが悪くなるということがありまして、結果として様々な心臓にかかわるような病気とかにつながっていくと分かっている」

 座りすぎで筋肉を動かさないことが血流を悪くし、さまざまな病気のリスクを高めているという。

 さらにWHO(=世界保健機関)は、2002年に「座りすぎの生活スタイルは、心血管疾患、糖尿、肥満のリスクを倍にし、結腸ガンやうつ病のリスクを高める」と警告している。

■「座りすぎ」解消への取り組み

 そんな中、座りすぎの解消を目指す動きも。

 都内にあるアプリゲームの開発会社『モバイルファクトリー』では、去年4月、立って仕事を行うことのできる「スタンディングデスク」を約100台導入した。

 机の高さをボタン1つで簡単に上げ下げすることができ、オフィスでは、座って仕事をする人もいれば立って仕事をしている人もいる。

 社員「腰が痛いときとかは、座っている状態から立って仕事をした方がよかったりはします」「非常に健康面にもいいかなって思っています」

 さらに、立って作業をすることで、効率的に仕事ができているという。

 深井未来生取締役「あくまで感覚的なものではあるんですけれども、使っている社員は、恐らく2~3割ぐらいの生産性向上につながっているのでは」

 またIT企業「ヒトメディア」では、スタンディングデスクだけではなく、オフィスのすぐ横に4台の運動器具を置いていた。

 瀬川雄介副社長「ずっと座りっぱなしで仕事をしたりで、肩がこったりだとか腰にきたりだとか、そういうところもあって」

 週に2回、トレーナーに運動の仕方や健康維持について相談を行うことができるという。

 メーカー『岡村製作所』の「オカムラガーデンコートショールーム」を訪ねると、スマートフォンを使ったアプリでの操作が可能で、立っていた時間を記録し消費カロリーを知ることができる机も。

 販促企画室・武田浩二室長「こちらはスマホの中のアプリで操作するタイプになります」「実際に立ったカロリー計算なんかもできる仕組みも導入されています」

■座ったままできる、血流をよくする方法

 座りすぎを防止する取り組みをすすめる企業もあったが、従来通り長時間座って仕事や勉強する人も多い。座ったままできる運動で血流をよくする方法を、岡浩一朗教授に聞いた。

 ○座ったまま、かかとをゆっくり上げ下げ(4~5回繰り返す)
 ○片足ずつひざを伸ばし、つま先を上に向ける

 こういった運動を行うことで、血流がよくなるという。