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トランプ大統領の「国連改革」その狙いとは

2017年9月30日 19:23

 今週、幕を閉じた今年の国連総会。アメリカと北朝鮮との対立ばかりが目立った中、その裏で初参加のトランプ大統領が肝いりで取り組んだのが「国連改革」だった。トランプ大統領の狙いとは何なのか?

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 厳戒態勢が敷かれたアメリカ・ニューヨーク。今年の主役は初参加のトランプ大統領。北朝鮮問題が注目される中、トランプ大統領が主催したのは「国連改革」をめぐる会合だった。

 「昔から思っているが、国連は期待ほど機能していない」-こう発言するなど、これまで国連と距離を置いてきたトランプ大統領。「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領は、この概念と真っ向から対立する「国際協調」を掲げる国連を批判してきたのだ。

 トランプ大統領「予算は国連全体の22%、平和維持活動では約30%も負担し不公平だ」

 具体的には、アメリカが一番多く負担している国連への拠出額を減らすと宣言。国連の活動に影響が出ることに心配する声が上がっていた。そうした中、国連に初めて乗り込んだトランプ氏の発言が注目された。

 トランプ大統領は「近年国連は『官僚主義』と運営の誤りでその能力を完全には発揮できていなかった」と、国連トップグテーレス事務総長の横で厳しく国連を批判。

 トランプ大統領「国連は2000年に比べ、予算は140%にスタッフの数は2倍になっている」-さらに、国連が「肥大化」しているとして「スリム化」を迫った。

 その裏にはある周到な戦略があった。NNNが入手した文書は、アメリカが各国に配ったもので国連の運営の「効率化」「透明性」の向上などの改革案が並んでいる。

 アメリカは「国連改革」会合の参加条件に、この文書への署名を求めた。改革への態度を鮮明にさせる「踏み絵」を迫ったのだ。賛同したのは131か国。

 多くの加盟国を味方につけ改革を迫るアメリカに対し、国連のグテーレス事務総長は「国連を支持してくれる人のために我々は機敏に、柔軟性をもって行動しなくては」と発言。

 トランプ大統領のプレッシャーに押され、国連側も改革に向けて足並みをそろえた形。グテーレス事務総長も予算の効率的な運用や透明性の向上などを盛り込んだ改革案を進めるとしている。

 会合の後、トランプ大統領はあの言葉をもじってこう表現した。

 トランプ大統領「『国連を偉大にする』。「再び」ではないが」

 これまでだめだった国連を偉大にすると語った。強まるトランプ大統領のプレッシャー。国連は今、変化を迫られている。