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“解散・総選挙”急浮上 小栗部長が解説

2017年9月18日 19:31
“解散・総選挙”急浮上 小栗部長が解説

 今月28日に召集される臨時国会冒頭の解散に向け準備が加速している。安倍首相は18日、公明党の山口代表らと会談し、今後の対応を協議した。小栗政治部長が解説。

─臨時国会冒頭で解散する意向を固めたということだが、随分急な動きだった。

 先週、一気に解散風が永田町に吹き荒れた。その証拠に、安倍首相は15日、ロシアに出張中の与党・公明党の山口代表にわざわざ国際電話をして解散について意見交換をしたのだ。

 そして18日、帰国した山口代表は、その足で安倍首相の私邸に行き、解散に踏み切る理由などについて安倍首相から説明を受けたとみられている。

─なぜこんなに急に解散を決めたのか。

 実は政権内でも、早期の解散をめぐっては意見が対立していた。

 麻生副総理は、自らが政権を担っていたときに解散に踏み切れず、ずるずると追い込まれた後に解散して、当時の民主党に政権を奪われた苦い経験から、政権の体力のあるうちに解散すべき、と前向きだ。

 反対に菅官房長官は、今やっても議席を減らす、と後ろ向きだった。

 そうした中、安倍首相は常々、学校法人「森友学園」や「加計学園」をめぐる野党の追及に嫌気がさしていて、秋の臨時国会で再び取り上げられるのは避けたいとの思いを周辺に話していた。

 そこに、民進党が新体制になっても離党者が相次いでいること、また、若狭衆議院議員らが年内をメドに新党結成の準備を進めていることなどから、今なら大負けはしない、という計算のもと、冒頭解散を決断したわけだ。

─とはいえ、今回の解散・総選挙では何を私たち国民に問うのか。

 そこが問題だ。今回、首相周辺によると、消費税率10%への引き上げによる新たな税収の一部を「教育や子どもへの投資」などに回すということを、安倍首相は争点の一つに掲げる意向だという。

 しかし、消費税率引き上げの予定は再来年の10月。北朝鮮情勢が緊迫し、不安が広がる今、これが争点となり得るのか、有権者には分かりづらいのではないだろうか。

 かつて大平元首相は、「権力は大義があるときに限り抑制的に行使されるものだ」と話していた。そうでなければ、民主主義が先細るという懸念から。今回の解散に果たして大義があるのか、安倍首相自身がどう説明するのか、注目したい。

─解散に野党は

 また、民進党の前原代表は、安倍首相の「自己保身解散だ」と批判しているが、政権選択を迫る衆議院選挙をチャンスと捉えられる態勢を整えられるのか、こちらも同時に問われている。