×

旅客機、なぜ片側のエンジンで飛行可能?

2017年9月15日 16:46

 旅客機は、なぜ片側のエンジンでだけで飛ぶことができるのだろうか。専門家に聞いた。

 5日、羽田発-ニューヨーク行きの日本航空機が、離陸直後に左エンジンから出火し、羽田空港に引き返して緊急着陸したトラブルがあった。乗客らにケガはなかった。

 今回、2基あるエンジンのうち1基のみを使い飛行・着陸したが、そもそもエンジン1基だけで運航は可能なのだろうか。航空ジャーナリストの青木謙知氏は「双発の旅客機の場合はエンジンがひとつになっても飛び続けることができる」と話す。

 エンジンの片方が止まると左右の推進力がアンバランスになる。例えば左側のエンジンを止めた場合、右エンジンの主翼が前に出ようとするので機首は左側に振れてしまう。真っすぐ飛び続けるには、右に舵を切れば良い。パイロットはこういった事態への訓練をフライトシュレーターなどで必ず行っているという。

 こういった事態ではどれほどの時間飛び続けることができるだろうか。青木氏は、機種とエンジンの種類の組み合わせなどによるとし、「今回の日本航空のボーイング777だと、通常はエンジン1基だけで180分飛び続けることができる」と分析する。

 また、トラブルが発生してからも飛行を続け燃料を投機していたことについて青木氏は、着陸の際の最大重量が決まっているので燃料を投棄する必要があると語る。重量オーバーの状態で着陸しようとすると、着陸時に一番衝撃がかかる“脚”が折れたりする可能性があるという。

 青木氏によると空中に捨ててしまった燃料は、霧状になって大気中に拡散されるので、海の汚染につながることはないという。

 厳しい訓練を受けた機長の的確な判断があったからこそ、大きな事故につながらなかったといえるだろう。