<解説>北へ新・制裁 影響、今後の動きは
国連安全保障理事会は、原油や石油精製品の輸出を制限することなどを盛り込んだ北朝鮮への新たな制裁決議を全会一致で採択した。国際部の正田部長が解説。
■採択された安保理決議は、当初案より弱まった印象だが?
今回採択された決議案をみると、北朝鮮への原油などの「全面輸出禁止」は「輸出に上限をつくる」になった。
金正恩委員長の名前の記述もなくなった。そして、北朝鮮の労働者は、ビザ更新など今の契約が切れるまでは働けることになった。合意を急ぐために妥協した面は否めない。
しかし、実は天然ガス液は全面禁輸になり、北朝鮮からの繊維の輸出が禁止された。
北朝鮮の制裁に詳しい元国連北朝鮮制裁委員会・専門家パネル委員の古川勝久氏は、「これで、輸出による外貨収入源の多くが絶たれることになる。制裁がすべて履行されれば、経済的なインパクトは十分、大きい」と話している。
■北朝鮮は、今後どのように動くのだろうか?
今回の制裁で北朝鮮の核開発を止められるかは不透明。
また、北朝鮮外務省は11日、制裁決議が採択された場合、「いかなる最終手段も辞さない準備を整えている」と威嚇した。日本の上空を越えるICBM(=大陸間弾道ミサイル)の発射実験などを行う可能性は残されている。
ただ、今回、アメリカは最大限の制裁案を示すことでまだまだ圧力の余地はあると示したともいえる。そのメッセージに一定の効果があることを期待したい。