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主婦の新たな働き方 “フリー”の魅力とは

2017年9月6日 18:28
主婦の新たな働き方 “フリー”の魅力とは

 いま、主婦などの“働き方”に新しいカタチが生まれている。企業に属さず、いわば“フリー”として働く女性が増えている。人手不足の中、出産や育児などで一度、仕事をやめた女性たちの活躍の場が広がっている。


■家族のサポートのために

 岡部光美さんは月に約15日間、どこの会社にも属さない“フリー”の立場でベビーシッターをしている。1日に1~6時間の間で働いている岡部さんの収入は、多い時で月に約6万円になる。

 岡部さんは数年前まで外資系メーカーに勤務していて、それなりの収入を得ていた。しかし、息子が中学受験の際に志望校に合格できず、サポートが足りなかったという思いから退職し、今の仕事のスタイルに変えたという。岡部さんはこう話す。

 「充実して子どもと向き合って子育てをする時間を取らなきゃいけないっていうことが、(退職する)一番の後押しになった」

 岡部さんは、フリーのべビーシッターと利用者をつなぐ仲介サービス“キッズライン”を利用して仕事を請け負っている。このサイトに自分のプロフィールなどを登録すると、ベビーシッターを探している人から仕事の依頼が来る。料金などについては利用者と直接やりとりして決定。キッズラインには手数料が支払われる。

 岡部さんはフリーの立場で働くことの魅力をこう話す。

 「自分が働きたいときに、自分や自分の家族の都合に合わせて時間ですとか、曜日ですとか、働き方を選べるところが魅力です」


■パートより高い時給で家計の足しに

 今、岡部さんのような主婦を中心に、ベビーシッターや家事代行などの分野でフリーランスとして活躍する人が増えている。

 主婦の戸塚亜由美さんもフリーの立場で働いている。その仕事は“家事の手伝い”。取材した日、利用者から頼まれていたのは料理の作り置きと洗面台の掃除だ。

 戸塚さんはもともと専業主婦だったが、「家計の足しにしたい」とパートタイムの仕事を探していた。その時に出会ったのが、家事の手伝いをして欲しい人と家事をする人をつなぐ“タスカジ”というサイトだった。

 戸塚さんのこの日の勤務時間は合計3時間。2時間で料理を作り、残り1時間で掃除を行った。1時間当たりの料金は1500円からで、時間は自分で設定することができる。

 利用する側の富沢さん自身もフラワーアレンジメントのサロンなどを経営する“働くお母さん”。タスカジは心強い存在だという。

 戸塚さんの場合、1回3時間、月に6日働いて月収は3万円程度だが、特殊な技術や資格がなくても一般的なパートタイムで働くより高い時給で効率的に働くことができる。戸塚さんはこう話す。

 「ただ普通に主婦としてやってきたんですけど、自分ができることをすればお客様は喜んでくれるので、誰にでもできると思います」


■フリーの課題 そのリスクとは

 広がりをみせるフリーとしての働き方だが、課題もある。フリーランス協会・平田代表理事によると――

 「病気やケガのとき、かわってもらえる人がいないという問題もありますね。フリーランスとして働くことをためらう一番の理由として、全てのトラブルを一人で引き受けなければならないというリスクの不安はある」

 フリーランス協会は損害保険会社とタイアップし、協会に加入して年会費1万円を支払えば、仕事上で発生した損害を補償してもらえたり、定期的な健康診断など、福利厚生のサービスが受けられたりするプランを作った。

 国もいま、フリーランスで働く人のために教育訓練の機会を提供する枠組みを検討していて、多様な働き方のひとつとして定着しつつある。秋の臨時国会でも働き方改革は重要な焦点のひとつだ。

 “好きな場所で好きな仕事をする”――今、そんな願いが身近なものになりつつある。