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“ソニーの頭脳”が語る人工知能の未来図4

2017年9月4日 20:34
“ソニーの頭脳”が語る人工知能の未来図4

 ソニーコンピュータサイエンス研究所社長・北野宏明氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「日本流のやり方で生き残れるのか。ビジネスのカギは多様性とスピード」。日本が世界で戦っていくために必要な条件とは―


■朝になると「情報が変わっている」世界

――「日本流のやり方で生き残れるのか。ビジネスのカギは多様性とスピード」ということですが、国際的な連携の中で、まさにAIの仕事をしてきた北野さんですが、日本企業で今のやり方というのは通用するのでしょうか。

 日本企業といってもいろいろありますからね。通用しているところも、ちょっと難しいなっていう企業もあると思いますけど、基本的にこの先端技術の領域というのはものすごいスピードで技術が進んでいます。

 例えば、ある講演をする時に、朝には新しいことがもう夜中のうちに発表されて講演の内容を随分変えなければいけないということが、ざらにあるわけですよね。とにかくスピード感が非常に重要になってくると思います。

 それと、いろんなところに使われて、いろんな価値感を反映する必要性がやっぱり出てくるので、多様性というのはやっぱり重要になりますよね。国際的に多様なチームでスピード感を持って展開していくということが、必須の条件になってくるんじゃないかと思います。


■「東京に人材を集める」という発想

――そんな中で日本の若者は大丈夫でしょうか。

 頑張っている人はたくさんいると思います。よく日本VSアメリカとかそういうふうな比喩をされるんですけど、シリコンバレーとか行くと、日本人がたくさんいるんですよ。インド人もたくさんいるし、中国からもたくさんいるし、世界中のそういうことを志している人たちは、みんな行っているのはシリコンバレーで、日本もそういうふうにすればいいんですよ。

 世界中からいろんな人が日本にチャンスを求めるっていう状況を作ってあげるっていうことが重要で、幸い東京っていうのは、かなり人気のある場所ですよね。治安もいいし、清潔だし、効率的だし、非常においしい食べ物もたくさんあるしということで、東京の魅力というのは非常にありますから、都市の魅力というのを生かして、世界中のタレントを日本・東京に集めるということがひとつのポイントになるんじゃないかなと思います。

――それをさらに魅力的にするために、やはりそこにAIというのは今後欠かせないものになってくるんでしょうか。

 そうですね。やっぱり導入をどうするかというところが非常にポイントになりますから、例えば特区を作るであるとか、いろんな実験がたくさんできるようになっていく場所に、東京や日本のいろんなところがなれば、そこに来てやるわけですよね。

 それはある程度のコントロールは必要で、勝手に何でもということにはなりませんけど、そこのところをどんどん進めていくというところが、ポイントになるんじゃないかなと思います。