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なぜ“ポテサラ”?O157食中毒どう防ぐ

2017年8月22日 16:50
なぜ“ポテサラ”?O157食中毒どう防ぐ

 埼玉県熊谷市にあるスーパーの総菜店で販売されたサラダを食べた6人から腸管出血性大腸菌(O157)が検出され、5歳の女児が意識不明の重体となっている。県は総菜店を営業停止処分にした。

 熊谷市のスーパー「食彩館マルシェ」にある総菜店「でりしゃす籠原店」で今月7日に販売された「ハムいっぱいポテトサラダ」、8日に販売された「リンゴいっぱいポテトサラダ」のいずれかを食べた14人のうち8人が体調を崩し、そのうち6人の便からO157が検出された。

 6人のうち3人が重症で、そのうち5歳の女児が意識不明の重体だという。

 ポテトサラダはどのように作られたのか。埼玉県や総菜店の運営会社によると、まず食品加工工場がジャガイモをゆでてつぶし、マヨネーズや玉ねぎと混ぜ合わせ、出荷する。

 これを総菜店がその日のうちに、店内の調理場でハムやリンゴを混ぜ、ポテトサラダを完成させる。完成したサラダは店頭に並べられ、客が自分でパックに取り分け、レジで精算するという。

 出荷元の食品加工工場は、この総菜店以外の店にも完成前のポテトサラダを卸しているが、現時点で他の被害は確認されていない。このことから県は、総菜店でポテトサラダを完成させる際に菌が混入したと推測している。

 食中毒に詳しい東京医科大学の松本哲哉主任教授も同じ可能性を指摘している。O157は主に牛肉から検出されるケースが多いことから、例えば牛肉を扱った手や調理器具を十分洗わずにハムやリンゴを調理して菌がうつった可能性が考えられるという。

 客が取り分ける際に菌がついた可能性は低い。O157はくしゃみによる飛まつ感染や空気感染はしないので、くしゃみやおしゃべりだけではうつらない。考えられるとすれば、客の手にO157がついていて、その手でサラダやスプーンを触ったケースだが、その可能性は低いという。

 O157による食中毒はこれまでも、多く発生している。1996年には、大阪府堺市の小学校で学校給食を食べた児童など9500人以上が感染し4人が死亡した。

 2011年には富山県の焼き肉チェーン店で15人が感染したほか、2012年には北海道札幌市の高齢者施設で白菜の浅漬けを食べた入所者が食中毒で死亡する例もあった。

 O157は感染力が強く、水の中や土の中で数週間から数か月生きると言われていて、冷凍庫に入れても死なない。

 では、どうしたら殺菌できるのか。O157は熱に弱いため、75度で1分間加熱すると死滅する。加熱のできない生野菜はよく洗ってから調理する。まな板や包丁など調理器具は熱湯消毒や塩素系漂白剤などを使って消毒しよく乾燥させることが大切だ。

 今の時期は気温が高く、菌も増えやすくなっているので、特に重症化しやすい小さな子どもや高齢者は十分注意が必要だ。