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政府一丸で「もっと自転車活用を!」のナゼ

2017年8月11日 16:49
政府一丸で「もっと自転車活用を!」のナゼ

 私たちの生活の足として欠かせない自転車。その自転車と観光を組み合わせた「サイクルツーリズム」も全国的にブームとなっている。今年5月には政府の自転車活用推進本部が発足、今月8日には関係省庁や有識者による会議が行われた。


■政府一丸で「もっと自転車活用しよう!」

 今回の会議には有識者のほか、厚労省、文科省、総務省、経産省、環境省、国交省、内閣府、警察庁、金融庁、消費者庁と様々な省庁の担当者が出席、まさに政府一丸となって「もっと自転車を活用しよう!」と張り切っている。


――なぜ今、「自転車」なのか

 今年5月「自転車活用推進法」という新しい法律が施行されたが、次のようなメリットをうたっている。

 「自転車は二酸化炭素を出さないので環境に優しいし、健康づくりにも役立つ」

 「過度な自動車への依存を減らすことで、交通渋滞も緩和できる」

 「災害の際、車などが使えないときには有効な移動手段にもなる」

 こうしたメリットから、自転車の活用推進は「公共の利益増進」につながると法律で明記した。


――具体的には何が行われるのか

 推進法では、自転車専用道路の整備や交通安全教育など14項目が重点施策として挙げられた。

 その中には、特定の場所で自転車を借りたり乗り捨てたりできる「シェアサイクル施設の整備」「国際交流の促進」「観光促進・地域活性化の支援」なども含まれている。

 「シェアサイクル」が東京都心でも見られる。東京都では現在、6区(千代田、中央、港、江東、新宿、文京)の間を自由に行き来できるようになっていて、通勤や仕事上の移動で使う人も増えているという。

 自転車を通して「国際交流の促進」を図ることも目指している。会議で例として挙がったのは、自転車のロードレース。国際自転車競技連合が公認するロードレースの大会は世界に357あるが、国内では「ツール・ド・熊野」など5大会にとどまっている。

 「観光促進・地域活性化」という点でも、自転車は期待されている。北海道で毎年8月に行われているイベント「利尻島一周ふれあいサイクリング」では、交流会を開いて地元の海産物を提供するなど、参加者へのおもてなしに力を入れていて、約半数がリピーターだという。

 経済産業省によると、去年は、この1つの島でのイベントにかかる費用145万円に対し、北海道全域への経済効果が1200万円、つまり事業費の8.3倍の経済効果があった。


――自転車にはいいことが多いが、一方で課題はあるのか

 今回のポイントは「乗る側の心構え」。自転車を楽しむには、乗る側がルールやマナーを守ることが大事だ。夜間の無灯火や右側通行などのルール違反をなくすためにも、「交通安全教育」の徹底が求められる。

 また、自転車事故では、被害者になるだけではなく、加害者になって巨額の損害賠償を求められることもある。保険に入るなど各自が自覚を持って運転することが大切だ。