×

退位時期“来年12月か再来年3月”有力か

2017年8月8日 18:54
退位時期“来年12月か再来年3月”有力か

 退位の意向をにじませた天皇陛下のお気持ち表明から1年。今年6月には、国会で「特例法」が成立し、3年以内の退位が決まった。天皇陛下が退位される時期、そして、私たちの暮らしとは、どのように関わってくるのだろうか。


■ビデオメッセージから1年

 もともと天皇陛下は、去年のビデオメッセ-ジの冒頭で、「戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には、平成30年を迎えます」と述べられていた。

 つまり、平成30年を意識されたお言葉があったわけだが、これは“来年”のことになる。陛下の退位や新しい元号への「改元」がいったいいつになるのか。

 現在、検討されている案は2つある。


■その1 「2018年12月下旬」案

 この案では、2018年の12月下旬に、今の陛下の退位と皇太子さまの即位が行われ、2019年の1月1日に新しい元号になる「改元」が行われる。メリットとしては、カレンダーの区切りがいいということ。

 一方、デメリットとしては、年末年始の休みの中で、役所や企業などが書類やシステムなどの対応が必要になるため、国民生活へ影響が出てくるという点がある。

 さらに、皇室においては、年末年始に重要な行事がたくさんあるため、この点について宮内庁が難色を示している。

 2018年から2019年にかけての年末年始を見てみると、12月23日の「天皇誕生日」以降、非常に重要な行事や準備が続く。そのため、この時期に退位が重なると、天皇陛下と次の天皇となる皇太子さまに負担が大きいと言われている。特に、1月7日は昭和天皇が亡くなって30年という節目の儀式がある。

 これについて、宮内庁のある関係者は「30年は重要な行事。お子さまである陛下がされるのが自然ではないか」と話している。そんな中で、2つ目の案が浮上している。


■その2 「2019年3月末」案

 これは、2019年の3月末に今の陛下の退位が行われ、年度始めである4月1日に「改元」するというもの。メリットは、年末年始の休みと違い、役所や企業が対応しやすいという点。また、新年度の始まりで、ふさわしいという声もある。

 一方のデメリットは、1年の途中で元号が変わってしまうと、平成と新しい元号が混在し、分かりづらくなるという点がある。


■注目は「皇室会議」の日程

 そもそも、退位のタイミングというのはどう決まるのか。まず時期だが、政府は当初、来年の夏頃と考えていたようだが、段取りを早く決めた方がいいという、考えの人もいることから、早ければ、9月にも退位と改元の日程を決める可能性も出ている。

 最終的には、政府が決めるが、今回の「特例法」では、その日程について、「内閣総理大臣は、あらかじめ皇室会議の意見を聴かなければならない」と定めている。

 この皇室会議というのは、秋篠宮さまら2人の皇族や、首相、衆参議長、最高裁長官ら10人からなる会議で、これがいつ開かれるのかが注目されている。


■元号候補はすでに複数存在

 新しい元号がどうなるのかも気になる。実は、新しい元号の候補はすでに複数、存在している。そして実は、その複数の候補は政府内で“誰の目にも触れないよう秘密裏”に保管されているという。

 歴史や文学研究の第一人者らによって提案されたもので、その中から、有識者懇談会や閣議を経て、正式に決まる。この新しい元号がいったいいつ発表されるのか、さまざまな思いをもって、見守っている人たちを取材した。


■新元号でカレンダー業界は―

 改元によって対応が迫られるカレンダー業界。業界団体は、ひと月遅れるごとに、数十億の損失が出ると話す。準備期間が必要だとして、遅くても2018年1月までには新しい元号を発表してほしいと訴えた。

 ある手帳メーカーでは通常、手帳には西暦と元号を併記しているが、来月発売する次の手帳については、2019年以降は西暦のみの表示にするという。


■新たな祝日に期待の声

 そして、退位にともない、祝日も変更になる。皇太子さまの誕生日である2月23日が、天皇誕生日として祝日になる。この新たな祝日に期待する声もある。

 実は、静岡県と山梨県では、その2月23日を条例で「富士山の日」と定め、毎年さまざまなイベントを開催している。山登りが趣味で、2008年に富士山に登頂された皇太子さま。雑誌のエッセーでは「私の誕生日は2月23日で奇しくも“富士山の日”と重なる」と、すでに半世紀以上、富士山に魅せられ続けているとつづられていた。


■御所のリフォームに「1年」の試算も

 天皇陛下の退位をめぐっては、日程以外にも決めなくてはいけないことがある。両陛下は退位後、上皇、上皇后となられるが、そのお住まいがどうなるかだ。両陛下は現在、皇居の御所にお住まいだが、退位後は、皇太子ご一家がお住まいの赤坂の東宮御所に引っ越しされる方向で検討されている。

 そして、新天皇に即位された後の皇太子ご一家のお住まいが、両陛下と入れ替わる形で、皇居の御所となる方向だが、その引っ越しも簡単ではない。実はリフォームが必要で、皇居の御所は1年近く、東宮御所は4か月ほど、時間がかかるという話がある。

 その間の両陛下の仮住まいとして、赤坂御用地にある赤坂東邸や葉山御用邸などが検討されているという。さらに、両陛下に対してはこんな“ラブコール”もある。


■京都、両陛下の長期滞在を希望

 京都府・山田啓二知事「退位という状況を受けて、天皇陛下にもう少しゆっくり京都にもおいでいただきたい」

 平安から江戸時代まで、天皇が住んでいた京都といえば、両陛下の訪問時に、「お帰りなさい」の横断幕で迎えるような土地柄だ。さらに、京都御所の一画には、かつて上皇となった天皇が住んだ「仙洞御所」という場所がある。広々とした池がある庭園が広がっている。両陛下も京都滞在の際には、この庭を好んで散策されているという。

 こうした縁もあって、京都は、退位後の両陛下に京都御所での長期滞在を希望している。ただし、高齢の両陛下の医療体制は東京にあり、ご家族・友人の多くは東京にいることなどから、長期的に京都にお住まいになるのは難しいとみられている。

     ◇

 これから、私たち全員が、時代の節目に関わっていくことになる。平成をどう振り返り、どのように新しい時代を迎えるべきなのか。私たち1人1人が関心を持って、考えていきたい。