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エルサレム聖地めぐり緊張続く 対立の背景

2017年7月29日 19:03

 中東エルサレムにあるイスラム教とユダヤ教の聖地をめぐって緊張が続いている。イスラム教にとって最も重要な金曜日の28日も衝突が相次いだが、その対立の背景を取材した。

 イスラム教徒が集団で礼拝を行う金曜日。エルサレム旧市街にあるイスラム教の聖地「ハラム・アッシャリフ」周辺には、武装したイスラエルの治安部隊が展開し、ものものしい雰囲気に包まれていた。

 路上で礼拝する人々。にらみあうパレスチナ人らと治安部隊。私たちの取材中にも、緊迫した状態が続いていた。

 「アルアクサモスク」や「岩のドーム」があるイスラム教の聖地「ハラム・アッシャリフ」は、ユダヤ教にとっても「神殿の丘」と呼ばれる聖地。

 今回、緊張が高まったのは、警察官の殺害事件をきっかけに、ここにイスラエル側が金属探知機を設置して、パレスチナ人らの出入りを管理しようしたことが原因。

 パレスチナ人らはこれに激しく反発。治安部隊との衝突で死傷者も出た。結局、金属探知機は撤去されたが、パレスチナ人らの怒りは収まらない。

 パレスチナ人ら「アルアクサモスクは我々の神聖な土地だ!」

 その対立の歴史の一端をある場所でみることができた。

 ヨルダン川西岸、パレスチナ自治区のエリコ郊外。この地域にはある特徴があった。ほぼすべての民家に黒いタンクが設置されている。住民に案内され、屋上に上がると-。

 パレスチナ住民・ンジョンムさん「これが我が家のタンクです。水をここにためています」

 この地域ではたびたび断水があり、給水がまったくない日もあるという。その原因は。

 パレスチナ住民・ンジョンムさん「(私たちの水源の近くに)イスラエルが井戸を掘ったので水の量が激減した」「その結果、供給される水の量が制限されるようになった」

 もともと水資源が十分ではないこの地域で、イスラエル側が水を独り占めしようとしているというのだ。

 パレスチナ住民・ンジョンムさん「タンクに水がなくなれば、それで終わり」

 一方、イスラエルが建設した入植地を訪ねてみると、そこには、大量の水を使ったオブジェ。木々が青々と生い茂り、黒いタンクはどこにも見当たらない。

 パレスチナ住民・ンジョンムさん「これは不公平そのものだ」「パレスチナ人は誰しも不満や不公平さを感じていて、その象徴が(聖地にある)アルアクサモスクなんだ」

 聖地をめぐる怒りの声。それは、パレスチナ人が抱える不満の氷山の一角にすぎない。