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“核のゴミ”処分どこに?“適地”住民は…

2017年7月28日 19:48
“核のゴミ”処分どこに?“適地”住民は…

 原子力発電所を運転する限り出続ける“核のゴミ”。この高レベルの放射性廃棄物が最後に行き着く“最終処分場”をどこにつくるのか。政府は28日、適した土地の地図を公開した。国内にたまっている“核のゴミ”の量は1万2000トン。処分場の建設につながるのだろうか。


■“処分場適地”マップ どう見る?

 28日午後3時、経済産業省のホームページで“核のゴミ”最終処分場の適地を示した地図が公開された。オレンジや灰色は最終処分場建設に「好ましくない場所」を示している。

 阿蘇山など火山の周辺は、噴火すれば埋めたものが噴き出るリスクがあるため、丸くオレンジで塗られている。オレンジの線は活断層で、灰色の地域は地下に油田や炭田があり、将来、人類が掘り返すリスクがある場所だ。

 内陸に多いうすい緑の地域は「好ましい」可能性が高い場所だ。中でも、輸送に便利な海岸線は「輸送面でも好ましい」として、濃い緑色に塗られている。濃い緑は面積にして実に国土の3割に相当する。


■国が決めた“核のゴミ”処分方法

 まず、地下300メートル以上の岩盤に穴を網目のよう掘りめぐらせる。ここに、厳重に密封した“核のゴミ”を搬入。その後、放射能が弱まるまで、数万年にわたって地上から隔離するという。

 その実験施設の建設でさえ、大変な地元の反対運動があった。2000年代に入り、ようやく北海道の幌延に実験施設が開設される。

 その施設は地下深くにある。掘られたトンネルには核のゴミを模擬した物質が埋められ、周辺への影響を調べていた。しかし、ここは実験施設だ。実際の最終処分場は一体どこにつくるのか。

 国による選定は一向に進まず、国内にはすでに約1万2000トン以上の“核のゴミ”がたまっている。


■政府の“積極策”…重要なのは“民主的”手続き

 2年前、政府は最終処分場の候補地を政府が選び自治体に打診する、いわば“積極策”に転換。その第一歩として28日の地図が公表された。

 実験施設がつくられた幌延町も、一部が濃い緑になっていた。幌延町民はこう話す。

 「そういうものは受け入れられない。これからも絶対反対ということで、団結してやっていく」

 一方、ほぼ全体が濃い緑色になった愛媛県の中村知事は―

 「最終処分場の問題は避けて通れない。このことが見えない限り、原発依存低下も脱原発もできないという前提で、国はこの問題と向き合ってもらいたい」

 政府は濃い緑で示した「輸送面でも好ましい」地域を中心に、国側から提案して説明会を実施するなどし、今後の候補地選定につなげたいとしている。

 専門家はこう語る。

 「(候補地を)最終的に1つに絞りこんでいく事になるが、(自治体は)ちゃんと国と議論して、分からない事があれば質問して、民主的な手続きが一番重要だと思います」

 原発を動かし続ける限り必ず出る“核のゴミ”。処分場建設は避けては通れない問題だ。