「窃盗だろ」桃太郎でネット炎上を風刺
「大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました」おばあさんが桃を拾った時にそれが「窃盗」だと言われたら?ネット上でのこころない誹謗中傷に警鐘を鳴らすCM「苦情殺到!桃太郎」がいま話題を呼んでいる。
桃太郎の昔話でおばあさんが川から桃を拾う。日本人ならおなじみの場面だが、そこへ「窃盗だろ」、「通報!通報!」などネット上で見かける非難が相次いでいく。「窃盗」?確かにその通りかもしれないが、たくさん批判されたおばあさんはちょっとかわいそう。
そんな斬新な展開をみせるCM「苦情殺到!桃太郎」が注目されている。「ネット問題」と「桃太郎」というミスマッチな題材を組み合わせたのもさることながら、ほんわかしたアニメーションも魅力のひとつ。
CMを企画したACジャパンの岩藤重人次長は、「スマホマナーがいかがなものかという声があって、誰もが知っている桃太郎を題材にストーリー展開した」と企画の経緯を説明した。
ちなみに、CMを制作したACジャパンは、多くの人に共通する社会問題をテーマにして広告を作り、世の中に発信している団体。毎年新しいテーマを設けていて、今年はネットをテーマに選んだという。
こちらのCMの特徴をもう一つ挙げると、おばあさんを批判するコメントが、「もっと炎上しろー」「不祥事キター!!」「旦那は山で柴刈りしてる人らしいよ」など、どれもネット上に出てきそうなものばかりだということ。
リアルなネット用語で構成されていることに岩藤次長は、「放送上はマイルドな表現の方が良いという声もあったが、企画者と話し合ってリアリティあるコミュニケーションの方が良いと判断した」と難しいかじ取りを迫られたと明かした。
この判断は大当たり。CMはSNSなどで話題になり、テレビやネットメディアでも取り上げられることになった。
ネット社会の重苦しい部分に警鐘を鳴らしたこのCM。
最後に岩藤次長は、ネットでコミュニケーションを取る際は大らかな心を持って臨んでほしいと訴えた。