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「手足口病」感染したら…脱水症状に注意

2017年7月18日 16:49
「手足口病」感染したら…脱水症状に注意

 子どもを中心に夏に流行する感染症「手足口病」の患者の数が急増し、流行の兆しを見せていることがわかった。

 全国約3000の小児科で調査した患者数の推移を見ると、今年は去年に比べて先月から急激に増え始め、最新のデータでは1週間で1万8151人に上っている。

 また、今年は、流行した2015年と同じような推移になっているので、これからさらに増加していく可能性も考えられる。


■どんな病気?「手足口病」

 手足口病は夏場に流行する病気で、患者の9割前後を5歳以下の乳幼児が占めている。ウイルスが原因の感染症で、手や足、口に小さな水ぶくれのような発疹ができるため「手足口病」と呼ばれている。

 発疹というと汗疹(あせも)と見分けがつきにくいが、手足口病と発疹の出る場所が違う。汗疹は汗のかきやすい首回りや肘の内側などにできるが、手足口病はそういった場所に限らず発疹が出る。

 また、3人に1人程度、熱が出る場合がある。基本的には軽い症状で済むが、まれに脳や脊髄を保護する髄膜が炎症を起こす髄膜炎や脳炎などの合併症を引き起こし、重症化するおそれもある。

 さらに、大人も感染して、同じような症状が出る場合がある。国立感染症研究所によると、「大人の症例は少ないが、子どもにうつして感染を広げるおそれがあるので、この時期、手洗いやうがいを心がけることが大切だ」という。


■感染経路と感染時の注意

 主な感染経路としては、せきやくしゃみによる「飛まつ感染」、排出された便などに含まれるウイルスが口に入る「経口感染」がある。

 手足口病に特効薬はなく、病院での治療は熱を下げるなどの対症療法が中心になる。安静にして治るのを待つことになるが、注意したいのは脱水症状だ。

 子どもは口にできた発疹の痛みで、食べたり飲んだりすることを嫌がるようになり、脱水状態になることもあるので、十分な水分補給を心がける必要がある。食事をやわらかくしたり薄味にしたりと工夫し、ゼリーなど喉ごしの良いものを与えるのがいいだろう。

 脱水症状は自覚しにくいので、小さな子どもの場合、より注意が必要となる。

 また、この時期に流行している理由について、みやのこどもクリニックの宮野孝一院長は「夏バテの時期ということで、一般的に体の免疫力が低下するため、ウイルスが増殖しやすい」と指摘している。

■回復しても気抜かない

 意外と知られていないことだが、手足口病は回復した後も便から2週間から4週間にわたってウイルスが排泄(はいせつ)される。このため、トイレの後の手洗いやおむつ交換で気を抜くと感染が広がることがあるので、症状が治まった後でも手洗い・うがいを徹底することが大切だ。