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九州北部豪雨 「流木」で被害拡大のナゼ

2017年7月14日 18:52
九州北部豪雨 「流木」で被害拡大のナゼ

 九州北部に甚大な被害をもたらした記録的豪雨。福岡県や大分県では、これまでに30人の死亡が確認され、いまだ18人と連絡が取れない状態となっている。

 今回、被害を拡大させた理由の1つとみられている流木。災害復旧の大きな障害にもなっている。こうした事態を受け、国や自治体は会議を開催。流木の撤去を早急に行うべく話し合いが行われている。


■流木が被害を拡大させたワケ

  橋に引っかかった流木が川の水をせき止め、あふれた水が濁流となり、町をのみ込んだ可能性があるという。

 今回の豪雨で特に大きな被害を受けた福岡県の朝倉市では、おびただしい量の流木が確認されている。朝倉市や隣の東峰村、大分県日田市では林業が盛んで、山に植えられていたスギが大量に、土砂と一緒に流れ出た。

 13日に福岡県が公表したデータによると、朝倉市と東峰村で少なくとも20万トンの流木が確認されたということだが、大分県を含めた流木の全体量はまだわかっていない。


■大量の流木が押し寄せたワケ

 周辺が崩れやすい地質だったということも考えられるが、流木被害の専門家は森の管理不足も指摘している。

 スギなどの植林地は、人の手で木を間引く間伐をしないと太陽の光が入りづらくなり、しっかりと地面に根を張ることができない。そのため、間伐を行わないと強風や大雨などの際に倒れやすくなったり、辺り一帯の地盤が崩れやすくなってしまったりする。


■正確な実態把握を

 内閣府の担当者は、今回のような流木の被害について「根本的な対策をとれる段階に至っていない」と話している。

 だからこそ、事態が落ちついたら今回の流木の量、流れた原因、その経路などを調査し、実態を把握することが肝心だ。

 さらに、林野庁によると、森の管理不足は九州だけではなく全国各地で見られるということで、専門家は「今回のような記録的豪雨が発生した場合、各地で同様の被害が起こる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。