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北朝鮮対応めぐり 暗雲立ちこめる米中関係

2017年7月7日 15:44
北朝鮮対応めぐり 暗雲立ちこめる米中関係

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮の対応をめぐり、アメリカ・トランプ大統領が中国に不満を持ち始めている。当初は、順調ともみられた両国関係だが、暗雲が立ちこめている。

 アメリカ・ワシントン近郊で先月19日、アメリカ政府が毎年開催しているイベントが行われた。外国からアメリカへの投資を呼び込もうというイベントで、全米の州がブースを出し、競い合うように投資を呼びかけた。

 トランプ政権の“セールスマン”、ロス商務長官も熱心にアピールした。

 ロス商務長官「アメリカに、投資や雇用を増やす絶好のチャンスです。トランプ政権は、ビジネス分野で過去のどの政権よりも熱心に取り組んでいます」

 今年のイベントには、64の国や地域から1200人以上が参加した。最も多いのが中国からの参加者で、過去最高となる150人以上が参加したという。

 中国・大連からの参加者「初めて参加しました。健康や医療の分野などへの投資に、特に興味があります」

 中国・北京からの参加者「自分で申し込んで参加しました。特にトランプ大統領が誕生したので、アメリカに投資をしたいと思いました」

 中国からアメリカへの直接投資は近年、大幅に増加しており、2010年からの5年間で3割以上伸びている。多くの参加者が、ビジネス界出身のトランプ大統領になって、さらに投資環境が良くなるのではないかと期待を寄せていた。

 米中は投資だけでなく、経済関係の強化を進めようとしている。今年4月、フロリダ州のトランプ大統領の別荘で初めて顔をあわせたトランプ大統領と中国・習近平国家主席。アメリカの中国に対する貿易赤字を削減するために「100日計画」を作り、協力を進めることで合意した。

 会談から約1か月で、中国がアメリカ産牛肉の輸入を再開することなど、具体的な計画が明らかにされるなど迅速な対応ぶりが世界にアピールされた。

 しかし、専門家は、その先行きは厳しいとみている。

 中国経済・安全保障に詳しいデイビッド・パーカー研究員「『100日計画』は(対中国貿易赤字を)根本的に解決するには、限定的な効果しかないだろう。中国にとって、この計画は危険な賭けと言えるだろう。なぜなら、100日という期限内にアメリカの期待に応えなければならず、100日を過ぎた後も、中国がどう対応できるかという問題があるからだ」

 安全保障の分野では、さらに厳しい状況となっている。想定より早く北朝鮮がミサイル技術を進展させ、ICBM発射に踏み切ったことで、アメリカの危機感はこれまで以上に高まっている。

 当初は核やミサイル開発を進める北朝鮮対応で習主席の手腕を称賛していたトランプ大統領だが、成果が出ないと見るや、いらだちを募らせはじめた。

 トランプ大統領「北朝鮮問題に関して、中国からもう少し手助けがあればと思うが、うまくいっていないようだ」

 トランプ政権は、北朝鮮と不法な取引を行ったとして中国の銀行に金融制裁を行うなど、厳しい対応へとかじを切っている。

 ある米中関係者によると、中国側はトランプ大統領がしびれを切らしているのは分かっており、トランプ大統領の言いなりにはならないものの、協力できる新たな分野を探しているという。

 7日からドイツで始まるG20サミットで顔をあわせる両首脳。アメリカ単独での対応には限界がある中、中国から効果的な協力を引き出せるのか、トランプ外交は新たな正念場を迎える。