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朝鮮戦争67年…対北圧力憂う人々も 米

2017年7月2日 8:21

 先月30日の米韓首脳会談でアメリカのトランプ大統領は北朝鮮に対する厳しい姿勢を強調した。こうした中、かつての朝鮮戦争を知る人々は今の情勢に特別な思いを持っている。

 アメリカを訪れた韓国の文在寅大統領が今回、真っ先に訪れたのは朝鮮戦争の戦没者を慰霊する記念碑だった。この6月で朝鮮戦争の開戦から67年を迎え、アメリカの各地で犠牲者を追悼する式典が営まれた。ただ、今年は例年とは異なる空気も流れていた。トランプ政権が北朝鮮への圧力を強め、武力行使も辞さない姿勢を見せていることで、かつての朝鮮戦争を知る人々から心配の声が上がっていた。

 朝鮮戦争の元兵士(83)「朝鮮半島で戦った月日は時間の無駄だった。(米朝は)対話しなければならない。その限り、戦いは起きないから」

 「休戦協定」を結ぶまでの約3年間にアメリカ兵だけで約4万人が死亡。行方不明者は8000人近くにのぼる。アメリカでは行方がいまだに分からない人を1人でも特定しようと、朝鮮半島で収集した遺骨から身元を特定する作業が進められている。

 せめて遺骨だけでも受け取りたいとする遺族。その遺族が提供するDNAと遺骨のDNAが一致する確立は徐々に高まり、今ではひと月に「数人」の身元が判明している。そして、その遺骨は遺族の元へと返される。長い年月が経過した今も朝鮮戦争の行方不明者は1人、また1人と減っているのだ。

 遺族「美しい式で涙があふれた。やっと兄を弔うことができた」

 一方、今の米朝関係の中で新たな遺骨を発掘する作業は再開のメドがたっていない。朝鮮戦争はアメリカ人に苦い記憶として刻まれている。その戦争は今、休戦状態にあるだけ。「圧力」があの戦争の再開につながると不安を抱く人が多いのも事実だ。