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トイレの“三角折り”なぜ感染症のリスク?

2017年6月16日 18:48
トイレの“三角折り”なぜ感染症のリスク?

 ある病院の「トイレットペーパーを三角折りにしないで下さい」という張り紙が、ネットで話題になっている。ノロウイルスの感染源にもなり得るという、三角折り。ウイルスが、どのように感染するのか検証した。


■女性の80%「三角折りしたことある」

 「トイレットペーパー、三角折りすることはありますか?」―こんな質問を20代から70代の女性50人に聞いたところ、80%の40人が三角折りをしたことがあると答えた。

 実は、ツイッターに投稿された、ある病院のトイレの張り紙が話題になっている。張り紙には「トイレットペーパーを三角折りにしないで下さい。トイレットペーパーを折ると、便中や尿中の細菌などの微生物が付着し、細菌感染する可能性が高くなることがあります」と呼び掛けていた。


■「過敏なのでは」という声もあるが―

 この話題は、ネット上で大きく反応があり、1日で2000件以上のツイートを記録した。ネットからは「三角折りってダメなの?」「過敏なんじゃないの」「確かに不衛生かもね~」という声が聞かれた。

 実は、トイレットペーパーの三角折りで、ノロウイルスに感染するリスクがあるという。一体、なぜなのだろうか。

 衛生用品などを製造する「東京サラヤ」の村松寿代さんは「ノロウイルスなどに感染した人の手で、(トイレット)ペーパーを三角折りすることによって、次の方に感染を広げてしまいます」と話す。ホテルなどで、清掃を済ませた合図としてされる三角折りも、用を足した後で折るのは、注意が必要だという。


■塗料で“感染経路”を視覚化すると―

 どのように、感染する可能性があるのか検証してみた。まず、ウイルスや細菌に見立てた蛍光塗料を手にとって実験。用を済ませたと想定し、トイレットペーパーを三角折りにする。そしてブラックライトをあてると…手を触れた三角折りの部分が光り、ウイルスや細菌が付着しているのがわかる。また、その周りの部分も光った。

 そして、次に入った人が、このウイルスが付着したトイレットペーパーを使うと、実際に指先に塗料が付着。三角折りを通して、ウイルスや細菌が、次の人にうつる可能性があるのがわかる。


■抵抗力の弱い人は要注意

 患者や子どもなど、抵抗力の弱い人は、特に感染しやすいため、三角折りはしない方が良いという。また、トイレでは、他にも、水を流すレバー、便器の蓋、そしてドアノブにまで、ウイルスや細菌が付着しているという。

 村松さんは、「手を洗うことが大切で、自分の手からウイルスや細菌を広げないことが大切になります」と話す。ウイルスの媒介となる手を洗うことで、感染が防げるという。


■トイレの清掃にも順番がある

 ウイルス感染の予防法としては、トイレの後、しっかり手を洗うことも大事だが、実はトイレの清掃も重要になる。便器の形状にもよるが、実は、排泄物を水で流す時に、ウイルスなどが、床にも、ドーナツ状に飛び、特に、便器の横部分に多く飛び散る可能性があるという。汚れが目立たなくても、トイレ全体を清掃することが大事になる。

 その清掃方法だが、掃除をする順番も大事になる。ウイルスが少ないとされる場所から、掃除すべきということで、下記の順番が理想的だ。

(1) 床
(2) ドアノブ
(3) 水を流すレバー/トイレットペーパー周り
(4) 便座のふた/便座
(5) 便器の内部

 ウイルスが多い所から掃除すると、清掃用具などを通して、ウイルスを、他の場所に移動させる可能性が、高まってしまうということだ。

 次の利用者のことを考えて振る舞うのが、日本の“おもてなし”の原点だが、菌をバトンタッチするのは避けたい。快適さを重視する社会から、安心・安全を重視する社会に変わる中で、おもてなしも変えていく必要があるのかもしれない。