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“激務”の先生 どう減らす?部活動の負担

2017年6月9日 19:25
“激務”の先生 どう減らす?部活動の負担

 野球やバスケット、サッカーなど、放課後の学校で盛んに行われている部活動。しかし、この部活動が教育現場で大きな問題となっている。

 サッカー部の顧問をしていた現役の中学校教師(20代)「無理をして行ったら、入院か過労死していましたね」

 部活動が教師の長時間労働の一因となっているのだ。

 こうした事態を重くみた国は、運動系の部活動に休養日を設けるなどといったガイドラインを作成する「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」を立ち上げた。

 ある公立中学校のバレーボール部顧問の1日を見ると、平日は午前6時半から午前8時まで部活動の朝の練習、授業を終えた午後3時頃から午後8時頃まで部活動が行われている。土日も半日以上が練習で、それに加えて試合や遠征も多く、「プライベートな時間がない」と話している。

 土日が休みでない上、平日は15時間以上、学校にいることになるが、このような長時間の勤務実態はこれだけに限った話ではない。

 文部科学省が4月に公表した全国の約2万人の教師を対象にした調査によると、週に60時間以上勤務している教師が、中学校では全体の約57%となっていることがわかった。「週に60時間以上」ということは、換算すると「過労死ライン」とされている月の残業80時間を超えている計算になる。

 背景には土曜日の授業が始まったことも影響しているが、部活動の負担が大きいと考えられている。


――教師は部活動の顧問を断ることはできないのか。

 スポーツ庁の調査によると、全国の9割近くの中学校で教師全員が部活動の顧問になるのを原則としている。そのため、「自分だけが顧問を担当しない」と言えない空気があると言われている。

 それを表しているのが、これは「部活問題対策プロジェクト」という部活動の在り方を変えるために集まった現役の教師たちによる「レッドシールキャンペーン」と呼ばれている活動だ。

 学校内では部活動の問題について口にしづらい雰囲気があるため、問題と感じている教師が、赤いシールをさりげなく自分の机に貼ることで、同じ悩みを抱えた教師と相談するきっかけを作ろうという試みだ。

 具体的な対策を講じ始めた自治体もある。その1つが大阪府で、府立の学校で最低でも週に1日は部活動を行わない「ノークラブデー」という制度を今年から始めた。

 この制度に賛成する声は多いが、その一方で、部活時間が減ることで競技レベルの低下を懸念する声も上がっている。


――両方の要望を同時に叶えるのは難しそうだが、解決策はあるのか。

 今回のポイントは「地域クラブとの連携」。例えば、岐阜県多治見市内の公立中学校では、以前は顧問が終日、部活動を担当していたが、下校時間を午後5時頃と定め、この時間までは学校の部活動とし、それ以降の時間帯と土日・祝日は地元の外部指導員が教え、保護者が当番制で見守る地域のクラブ活動と定めている。

 これは「ジュニアクラブ」という制度で、こうした取り組みは競技により精通した外部指導員が教えることで、生徒の競技力アップが見込めるのと教師の負担軽減が同時に図れる。こういった点は大いに参考になるのではないか。