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なぜ?菅長官“文書”再調査あくまで否定的

2017年6月8日 18:23
なぜ?菅長官“文書”再調査あくまで否定的

 加計学園の獣医学部開設をめぐる問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと書かれた文書が添付されたメールの存在を文部科学省の現役職員が認めた。菅官房長官は会見で「出所や入手経路が明らかにされない文書の調査は必要ない」という答えを繰り返した。国会記者会館の青山和弘記者に聞く。

■菅官房長官はメールや文書の再調査にはあくまで否定的だが

 文科省の現職職員が文書の存在を認めているにもかかわらず変わらないかたくなな対応には、身内の自民党内からも疑問の声が出ている。あるベテラン議員が「世間的な印象は相当悪くなっている。後ろ暗いところがないなら再調査すればいいのに」と話しているほか、中堅議員は「菅長官の対応はまずい。何かを隠しているように聞こえる」と話している。

 安倍首相が答弁しているように「圧力が働いたことは一切ない」というのであれば、きちんと文書を再調査して、書かれた内容の真偽やその背景を明らかにした方がよほど分かりやすいというわけだ。

■菅長官はなぜここまで強硬なのか?

 一言で言えば、官邸に牙をむいた前川前事務次官をはじめとする文科省に対する「怒り」だ。菅長官は怒りがあまりに激しいゆえに彼らの発言や文書を強く否定して相手にしない姿勢を取った。特に文書については「怪文書みたいな文書」とまで言い切った、そうした自らの姿勢、発言に縛られてしまっている状態だ。

 ある官邸関係者は「菅長官は普段、合理的で冷静な人なんだが、今回なぜここまで体を張らなければいけないのか」と話している。

■一方で民進党など野党側は真相の究明を求めている

 今の国会の会期末まであと10日となる中で追及を強めている。

 民進党・蓮舫代表「政府が再調査をしないというのは、この問題はもう終わり、幕引きをしたい、これ以上新たな事実は自分たちでは明らかにしたくないと極めて後ろ向きな姿勢だと思って強く抗議します」

 安倍首相はかねてから国会で「政治家であれば嫌疑をかけられたらしっかり説明責任を果たしていくべきだ」と答弁してきた。突きつけられた疑問にどう対応するのか。文科省文書の問題は政権の信頼に関わる問題になりつつある。