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G7閉幕 シチリア島で反トランプデモ

2017年5月28日 7:31

 イタリアで開かれていたG7サミット(=主要7か国・首脳会議)が27日、閉幕した。焦点だった首脳宣言にはトランプ大統領が折れる形で「保護主義と闘う」という文言が盛り込まれた。

 サミット2日目のテーマは難民や移民の受け入れ問題。しかしこの日も注目されたのは「保護主義」と「環境問題」を巡るトランプ大統領の発言だった。

 保護主義的な貿易政策を掲げるトランプ大統領は、去年の伊勢志摩サミットの首脳宣言に入っていた「保護主義と闘う」という文言を削除するよう求めてきた。しかし、安倍首相からの助言などもあり、最終的には矛を収め、一転して盛り込むことを認めた。

 一方、もう一つの焦点である地球温暖化対策を巡ってはアメリカ以外の6か国が国際的な枠組み「パリ協定」に残留するよう求めたが、トランプ大統領は「検討中」との立場を崩さなかった。ドイツのメルケル首相は「満足のいく議論ではなかった」と強い不満を表明している。

 議長国・イタリア、ジェンティローニ首相「トランプ大統領はとても傲慢だった。しかし、好奇心が旺盛で相手が何を考えているのか理解しようとしていた」

 そのトランプ大統領は演説でサミットの成果を強調した。

 アメリカ・トランプ大統領「G7では経済成長と公正な貿易の実現に向け大きな進展があった」

 しかし結局、記者の質問に応じることはなかった。サミットのような場でアメリカの大統領が記者の質問に応じないのは異例で、ロシアを巡る疑惑のなかマスコミの追及を避けた形。

 一方、今回のサミットが開かれたシチリア島は経済成長が遅れており、イタリアの抱える「南北格差」の象徴的な場所でもある。会場近くではデモが行われ「トランプ大統領の政策は格差を広げる」などと批判した。

 アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領とそれに対峙(たいじ)する形のメルケル首相。今回のサミットはこの構図が改めて示されたものとなった。