難民、貿易、温暖化…サミット声明は難航か
イタリアで開かれているG7サミット(=主要7か国首脳会議)は、日本時間の27日午後、最終日の日程がスタートした。「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領の登場で、共同声明のとりまとめは難航しているもよう。現地シチリアから井上幸昌記者が中継。
■移民・難民政策で意見が対立
サミットが開かれているシチリアは、シリアなどからの難民が海をわたり上陸する場所でもある。最終日の27日、7か国の首脳が集まる高台ではいまも激しい駆け引きが続いているものとみられる。特に移民・難民政策で意見が対立しそうだ。
アメリカ・イギリスは難民の受け入れで規制が必要との考えである一方、フランス・ドイツは寛容な姿勢を見せている。1日目の議論も踏まえて出される共同声明がG7の結束を示す内容になるのか、危ぶむ声も出ている。
■貿易、地球温暖化対策でも…
ほかにも事前の予想通り、トランプ大統領と他のG7首脳との間で大きな溝がある分野が2つある。
1つ目は貿易。ホワイトハウス高官によると、トランプ大統領は1日目の会議で「公平な貿易」について繰り返し、持論を述べたということで、議論は白熱したようだ。
トランプ大統領は、アメリカが不公平な条件で貿易をしてきた結果、貿易赤字が膨らんだと考えていて、公平にするためならば自由な貿易を制限する「保護主義」になっても構わないと考えている。そのため、去年の共同声明まではあった「保護主義と戦う」との表現を外したいとこだわっていて、各国と対立している。
ドイツ・メルケル首相(26日)「ドイツは対アメリカで貿易黒字だが、一方でアメリカに多くの投資もしている。その両方を見るべきであって、1つの側面だけを見るべきではない」
2つ目は地球温暖化対策。トランプ大統領は議論の中で「製造業の雇用創出で中国とインドに後れをとりたくない」と、環境よりも経済を優先すると主張。各国首脳とかなり激しいやりとりになったという。
イギリス・メイ首相(26日)「アメリカが、諸問題について自国の政策に従い立場を考えるのは理解するが、気候変動が非常に重要な問題であることに疑いの余地はない」
共同声明の発表まであと6時間ほど。ギリギリまで大詰めの調整が続くことになる。