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【検証】オバマ前大統領 広島訪問から1年

2017年5月27日 20:18
【検証】オバマ前大統領 広島訪問から1年

 アメリカのオバマ前大統領が広島を訪問して27日で1年。被爆地から前大統領が発した「核兵器のない世界」の訴えは、どのように受け止められたのか。歴史的訪問から1年を検証した。

 27日午後、広島市の平和公園を岸田外相が訪れた。岸田外相は、オバマ前大統領の広島訪問に力を尽くした一人。

 岸田外相「1年、あっという間に過ぎた。この歴史的な訪問を未来に向けてどういかすか。我々に問われている」

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 1年前、広島が迎えた歴史的な一日。原爆を投下したアメリカの現職大統領が初めて被爆地を訪れ、犠牲者と向き合った。

 オバマ大統領「空から死が降り、世界は変わりました」

 1945年8月6日。アメリカが投下した原子爆弾によって、広島では、その年のうちに14万人の命が奪われた。原爆の被害を伝える資料館には、昨年度、過去最多の174万人が訪れた。中でも目立つのがアメリカ人の姿。初めて目にした現実に、衝撃のあまり涙する人もいた。

 アメリカ人女性「とてもよかった。子どもを亡くした母親や兄弟の話に心を打たれました」

 広島を訪れたアメリカ人に、オバマ前大統領の訪問はどのように映っているのか。

 アメリカ人「意義があったと思います。二度と起こさないための一歩になるから」

 100人のアメリカ人に聞いたところ「意義がある」と答えたのは76%。「意義がない」とした11%を大きく上回った。さらに7%の人が、広島を訪れた理由に大統領の訪問を挙げている。

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 一方、1年生の時から平和教育に力を入れる広島の小学校では、修学旅行先を長崎に変えた。同じ被爆地の小学生と交流するためだ。

 広島市立幟町小学校・島本靖校長「互いの学校が、新たに違う平和に関する歩みが、オバマ大統領のように一歩踏み出せるのではないか」

 しかし、オバマ大統領が去ったアメリカは、核戦力の増強を示唆。対抗する北朝鮮も核開発を加速させる。そして、核兵器を法的に禁止する議論に加わろうとしない核保有国。

 オバマ大統領「アメリカを含む核保有国は、恐怖の論理から抜け出し、核兵器のない世界を求める勇気を持たなければいけません」

 世界が勇気を持って核兵器を捨て去る日は、いつ訪れるのか。被爆地の訴えが続く。