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話題:フィッシャーマン・コール誕生のワケ

2017年5月25日 20:38
話題:フィッシャーマン・コール誕生のワケ

 ネットで話題の言葉を取り上げ、話題のウラ側を探っていく「ホットワード」。今回は「フィッシャーマン・コール」。

 「フィッシャーマン・コール」とは、宮城県石巻市の漁師が船の上や仕事場から、目覚まし代わりのモーニングコールをしてくれるサービスの名称です。

 朝早くから仕事をしている漁師が海で鍛えた渋い声でモーニングコールをしてくれるとあって、いまネットで話題なんです。

 サービスに申し込む人は「就職活動の面接の日」や「テスト」など勝負の日の朝に起こしてほしいという依頼が多く、誕生日など記念日のほか、「息子を起こしてほしい」という母親からの申し込みもあったそうです。

 このサービスは期間限定ですが、1000件以上の申し込みがありました。この中から抽選で30人ほどに、1人の漁師が1日2人程にモーニングコールをするそうです。反響の大きさから、当初は6月スタートだったサービスを5月16日に前倒ししました。

 なぜ、漁師がモーニングコールをするというサービスが誕生したのでしょうか。「フィッシャーマン・コール」は若い漁師を増やすため、漁業の担い手育成に取り組む石巻市の事業の一環として「フィッシャーマン・ジャパン」という社団法人が担当しています。

 「フィッシャーマン・ジャパン」の安達日向子さんによると、「早起きが当たり前」という漁師の武器を生かし、朝に弱い若者の早起きをサポートすることで、漁師と若者が交流する機会を作ることができるのではと、サービスを立ち上げたそうです。

 漁師からすると、忙しい時間にモーニングコールをしなければならず、仕事の妨げになることも考えられます。海の上で仕事の手を止めて電話をかけてもらうので、一歩間違えれば事故にもなりかねません。

 安達さんは「漁師の仕事をナメているのか」と、お叱りを受けることも覚悟したそうですが、実施に向けては細心の注意を払い、説明を尽くすことで理解してもらったそうです。安達さんとしては「正直、よくぞ許可してくれた」と感じているそうです。

 実際にモーニングコールをかけている漁師は、初めはピンと来なかったそうですが、反響の大きさに、今では前向きな姿勢になっているそうです。

 ホヤ漁師の渥美貴幸さんは「電話の向こうの人のことを考えて通話している。漁師や漁業の魅力が伝わればよいと思う」と話していました。

 実は今回の申し込みは男性より女性の申し込みが多く、ネット上では「朝から漁師に起こしてもらったら恋に落ちそう」という反応まであったそうです。

 気の早い話ですが、石巻市の担当者は「漁師には独身の人も多いので、“漁師の妻”にも興味を持ってもらえば」と語っていました。