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“小池新党”過半数を阻む壁とは?記者解説

2017年5月23日 19:16
“小池新党”過半数を阻む壁とは?記者解説

 東京都議会議員選挙の告示まであと1か月と迫り、小池都知事と自民党が早くも火花を散らしている。日本テレビの世論調査では、7割以上が小池都政を「とても評価する」「ある程度評価する」と答えるなど勢いがあるが、選挙はそう簡単でない状況だ。日本テレビ・古谷朋大記者が解説する。


――小池都知事率いる「都民ファーストの会」がどこまで議席を伸ばすかが焦点の1つだが。

 都議選は127ある議席をめぐって争われる。小池都知事は、現在22議席を持つ公明党など自らを支持する勢力をあわせて過半数を獲得する事を目指している。

 一方、小池都知事と対立する都議会自民党(56議席)、そして小池都知事と一定の距離を置く共産党(17議席)の現在の議席をあわせると73と過半数を超えている。つまり小池都知事側にとってみれば両党の議席をどこまで減らせるかがカギとなる。


――狙い通りにいきそうか。

 そう簡単ではない状況だ。この週末、日本テレビが行った世論調査では7割以上が、小池都政を「とても評価する」または「ある程度評価する」と答えていて、勢いがあることは事実だ。ただ、選挙の仕組みがネックになる可能性がある。


――どういうことか。

 衆議院選挙の小選挙区などと異なり、都議選では42の選挙区のうち、定数1の1人区は7つだけとなっていて、あとの35選挙区では1人区に対して、複数の当選者が出る複数区となっている。

 中でも世田谷区や大田区では8人が当選するなど、都議選はこの複数区の結果がより重要になる。前回の都議選の結果をみてみると…たとえばある選挙区では、6人が当選した。

1 公明党 41,363票
2 自民党 35,722票
3 自民党 32,070票
4 共産党 31,218票
5 自民党 28,006票
6 民主党 23,444票(※政党名は当時)

 仮に今回、「都民ファーストの会」の候補者がトップ当選したとしても、前回の順位をそのままあてはめると、落選するのは現在の民進党で、自民党も共産党も議席は減らない。さらに定数2の選挙区の前回の結果を見てみると―

1 自民党 22,361票
2 公明党 20,203票

 定数2のところ、自民党と公明党の候補者がわずかな差で議席を分け合った。今回、都民ファーストの会が議席を獲得したとしても、小池都知事を支持している公明党の議席を奪ってしまう可能性があるということになる。


――つまり、都民ファーストの会が当選することが、自民党の議席を奪うことにならない場合があるということか。

 そうなる。こうした難しさもあり、42選挙区すべてに候補者を擁立する方針の「都民ファーストの会」だが、小池都知事側が過半数を確保するためには、どの選挙区に何人の候補者を置くかといった緻密な選挙戦略も必要となる。