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イラン大統領選 融和×強硬の背景は…

2017年5月20日 18:40

 日本時間の20日、イラン大統領選挙の開票が行われている。この大統領選は、国際社会との融和路線をとる保守穏健派で現職のロウハニ大統領と、反米で保守強硬派のライシ前検事総長による事実上の一騎打ちとみられていた。

 私たちが訪ねた建物の一室では、男女が一緒に演奏の練習をしている。日本ではごく当たり前な光景だが、ここイランでは画期的なこと。

 イスラム教シーア派国家のイランでは、宗教上の解釈から、これまでは原則として男女が一緒に人前で演奏することはなかった。それが、ロウハニ大統領誕生後、認められやすくなったのだ。

 演奏者の女性「演奏の回数が増えたと思うし、許可をもらうこともより簡単になりました」

 ロウハニ大統領による国際社会との融和路線は、こうした文化面だけでなく、経済の立て直しでも一定の成果をあげた。ロウハニ大統領は2015年7月、欧米などとの核合意を達成し、国際社会による経済制裁解除を実現させたのだ。

 制裁解除後、国の経済を支える原油の輸出量も増加。イラン国営石油会社によると、2015年は約157万バレルだった原油輸出量が、2016年には約201万バレルとなった。

 ロウハニ大統領は選挙戦でこうした実績をアピールした。

 保守穏健派・ロウハニ大統領「これまで実施してきた政策をやりきったとは思っていないが、選んだ道は正しかった」

 ロウハニ大統領再選への期待の声は日本のビジネスマンからも。首都テヘランには商機を求めて日本企業が集まっていた。

 平山製作所外国営業部・橋本俊光課長「(イランは)豊富な資源を持っている国なので、購買力も潜在的にあり非常に魅力的。現職のロウハニ大統領にまた決まっていただきたい」

 一方でこうした外国との「接近」に危機感を抱く人々は、保守強硬派のライシ師を支持している。

 保守強硬派・ライシ前検事総長「現状には我慢できない!国民のためになる変化が必要だ!」

 そのライシ師を支持する組織は、去年からある「プロパガンダ」を始めた。

 旧アメリカ大使館に、過激な画が描かれている。1979年、打倒アメリカを掲げて成立したイスラム革命の直後に起きたアメリカ大使館占拠事件。その舞台となった場所が去年11月、突然、一般公開されたのだ。アメリカが盗聴器などを使用して、スパイ活動をしていたとアピールしている。国家体制の根幹である反米の意識をあおる狙いがあるとみられる。

 保守強硬派・旧米大使館の管理担当者「機械などを見て分かるように、彼らはここでスパイをしていました。私はアメリカに反対です。アメリカの政策から国や国民を守ってくれる、適切な人を選ばなければなりません」

 孤立しても反米を貫くことを望む声と、国際社会との歩み寄りを望む声。イランはどちらの道を選択するのか。国際社会もその行方を見守っている。