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【検証】警告文でカラス撃退、なぜできる?

2017年5月19日 19:13
【検証】警告文でカラス撃退、なぜできる?

 カラスの被害に悩んでいた東大の研究施設が、「カラス侵入禁止」と書いた警告文をつるしたところ、カラスが入らなくなったと話題になっている。なぜ、警告文で、カラスを追い払うことができたのか、そのワケを取材した。


■「カラスは文字が読める?」ネットで反響

 岩手県にある東京大学の研究施設。職員の方に案内してもらい中に入ってみると、1階の天井にはカラスがついばんだと思われるボロボロの配管があった。そこにつるされていたのが「カラス侵入禁止」と書かれた警告文。この警告文を出すと、建物内にカラスが入ってこなくなったという。

 このニュースは、ツイッターでも大きく反応があり、1日で3000件を超えた。ネットでは「えー!なんでなの?」「カラスがすごい!」「文字を読めるんでしょうか?」などの声が相次いだ。警告文によるカラス対策、なぜ効果が出ているのかを取材した。


■冗談かと思いきや…本当に被害が減少

 訪ねたのは千葉県柏市にある東京大学大気海洋研究所。岩手の研究施設で、警告文を取り付けた佐藤教授と、そのアイデアを出した竹田博士に話を聞いた。

 佐藤教授「(Q:カラスに対して警告文を張り出したのはなぜ?)岩手の研究所では、毎日一生懸命掃除するんだけども、カラスが建物の中に入ってきて汚すというのが悩みだったんです」

 津波の被害をうけた岩手の研究所は今も1階と2階に窓がなく、倉庫としてしか使えなかった。そこへカラスが入り込み、巣を作る材料として、パイプ周りの断熱材をむしり取り、フンなどで汚して困っていたという。そこで相談したのがカラスについて研究している竹田博士だった。

 竹田博士「単純にこういう白い紙に、『カラス侵入禁止』と書いた紙をはったらいいんじゃないの、という話を佐藤教授にしました」

 それを聞いた佐藤教授は「またいつもの冗談かなと思いました」と話す。佐藤教授も半信半疑だったこの対策、しかし実際にやってみると…カラスによる被害が減ったという。

 竹田博士「(Q:カラスは文字を理解している?)カラスは字を読むことはできません」


■カラスは人の視線を嫌う

 なぜカラスの被害が減ったのだろうか。そこには竹田博士が考えた心理的な仕掛けがあった。竹田博士によると職員などが警告文をみて、不思議に思って立ち止まり周辺のカラスを探してしまうという。カラスは、立ち止まった人の視線を嫌がり警戒して立ち去るという。

 竹田博士「(カラスは)人が見ることによって、自分がもしかしたら襲われるというような危険意識を持ってしまうので逃げることになるんです」


■“カラスの習性”実験映像でも明らかに

 人の視線を嫌うというカラス。竹田博士がカラスの行動について実験した映像がある。ケージの天井に付けたカメラで、10匹のカラスと帽子を被った人を撮影したもので、ケージの左右には止まり木を設置している。

 まず、人が画面上を見ているときカラスはケージの左右に散らばっている。ここから人が右を向いて視線を移動させると、右側にいたカラスが突然バタバタと、人の背後に移っていき、最後には1匹もいなくなった。同じ実験を繰り返したところ、いずれも同じようにカラスが視線を避けるように移動したということだ。他にも追い払う方法を教えてもらった。

 竹田博士「例えば指をこうやって、こういう形で指をさしてもらうとカラスに対してアピールする」

 指でさすと確かにカラスが飛んでいく。他にも「おはようおいで~」声をかけられたりすることも嫌がるという。カラスが注目されることを嫌う習性。今後、新たなカラス対策に生かしていきたいということだ。


■カラスが“短く繰り返し鳴く”時は注意を

 注目することがカラス対策になるということで、ごみ集積所に集まるカラスの対策にも生かせるのでは、と考える人も多いかもしれない。しかし、専門家によると、餌を調達しようとするカラスは食べ物への執着心が上回ってしまうため、注目するだけでは難しいという。また、人に慣れたカラスにも効果は出にくいという。

 そして、カラスは5月から7月にかけて、子育てシーズンなので親が非常に神経質になっていて、人を襲う可能性が高まるという。そこで知っておくといいのが、鳴き声でカラスの気分がわかるということだ。

 カラスが短く繰り返し鳴くときは周囲を警戒している時だという。カラスが人を襲う時は、背後からくるということで、こうした鳴き声を聞いた時にはカラスを見ながら離れていくのがよいそうだ。