×

突然ロシア?北ミサイルにトランプ氏の狙い

2017年5月14日 19:34

 北朝鮮が14日朝、弾道ミサイル1発を発射した。アメリカのトランプ政権の動きについて、ワシントン支局の井上幸昌記者が解説。

■トランプ大統領の動きは

 トランプ政権は「北朝鮮包囲網」をガッチリ固めようとしていて、新たにターゲットをロシアに定めたようだ。ミサイル発射から6時間後にホワイトハウスは声明を発表した。

 トランプ大統領の意思が読み取れる内容になっていて、唐突に「ミサイルは日本よりもロシアの領土に近いところに落ちた」と指摘。さらに、トランプ大統領の考えとして「ロシアが喜んでいるとは思えない」と、わざわざ記していた。

■なぜ突然、ロシアなのか

 狙いは二つある。声明では「すべての国が、はるかに強力な制裁を実施しよう」とも呼びかけているのだが、その際に障害となるのがロシアの存在。ロシアは対話による解決を強く主張していて、国連の安全保障理事会で新たな制裁を決議しようにも、現状ではロシアの反対で実現しないとみられる。

 そこで、北朝鮮の核とミサイル開発はロシアにとっても安全保障上の問題ですよ、反対でいいですか?とクギを刺したと考えられる。

 もう一つは「北朝鮮包囲網」の抜け穴封じ。トランプ大統領は中国を抱き込み「北朝鮮包囲網」をつくろうとしている。その一方で北朝鮮はロシアに接近。貨客船・万景峰号を使った新たな定期航路を開設し、外貨の獲得や人が往来する「抜け道」を確保しようとしている。

 トランプ大統領としては、ロシアの名前をあえてあげることで、こうした動きをけん制する狙いがあるとみられる。