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拉致など調査の元国連関係者“北朝鮮”語る

2017年5月13日 18:38
拉致など調査の元国連関係者“北朝鮮”語る

 日本人拉致を含む、北朝鮮の人権侵害問題に取り組んできた元国連関係者2人が、春の叙勲で受章した。日本テレビの単独取材に応じた2人に、緊迫する北朝鮮情勢をどのようにみているのかを聞いた。

 今月10日、日本テレビの取材に応じた2人の元国連関係者、マイケル・カービーさんとマルズキ・ダルスマンさんが語ったのは、緊迫する北朝鮮情勢への懸念だった。

 マルズキ・ダルスマンさん「今、北朝鮮が軍事力を高め、核開発の方向に進んでいることは明らかです。国際社会と北朝鮮の間には強い不信感があります」

 マイケル・カービーさん「今は正念場です。国際社会の問題として捉えるべきです」

 2人はこれまで、日本人の拉致問題を含む、北朝鮮で起こっている様々な人権侵害を調査し、その悲惨な現状について国際社会に理解を呼びかけてきた。その功績が日本政府に認められ、今年、春の叙勲を受章した。

 北朝鮮による日本人拉致被害者は、2002年に5人が帰国してから1人も帰国できていない。ダルスマンさんとカービーさんは、拉致問題の調査のため、帰国した被害者や家族から当時の状況や、その後の苦しみなどについて聞き取りを行った。そして、約1年かけて370ページに及ぶ報告書を国連に提出し、北朝鮮における人権侵害の現状を国際社会に広く知らしめた。

 北朝鮮はここ最近、相次いでミサイルを発射し、核実験の準備も進めているとみられている。そんな中、拉致被害者の家族からは、「拉致問題が置き去りにされてしまうのでは」と、懸念する声もあがっている。

 マルズキ・ダルスマンさん「日本人の拉致問題は北朝鮮が公に罪を認めています。だからこそ、日本政府は国際社会をリードすべきです」

 マイケル・カービーさん「人権問題の解決なくして朝鮮半島の安全保障はありえません。人権問題と安全保障は密接に関わっているからです」

 日本を含む国際社会は、どう北朝鮮に向き合っていくべきなのか。

 マルズキ・ダルスマンさん「現在のアプローチ、すなわち北朝鮮への圧力を見直す必要があります。結果として北朝鮮の孤立化につながっているからです。圧力は北朝鮮を孤立させるためではなく、国際社会に引っ張り出すために使うべきものです」

 マイケル・カービーさん「制裁の強化で北朝鮮が真剣な対話に参加するように促さなければなりません」