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被害に遭わないために…旅行者が知るべき事

2017年5月12日 17:44
被害に遭わないために…旅行者が知るべき事

 今年3月に突如、経営破たんした旅行会社「てるみくらぶ」。被害件数は合計で3万6046件、被害者は最大で9万人に上るとみられている。東京商工リサーチによると、負債総額は旅行業では過去4番目に多い151億円、このうち旅行者に返還が必要な債務は約100億円だ。

 「てるみくらぶ」の破たんを受け、国土交通省は先月、“第2のてるみくらぶ”を防ぐための会議を開催した。被害に巻き込まれないために、私たちが知っておくべきこととは。

 ツアーに行ったところ、ホテル代などが未払いになっていたために、現地で二重払いした人なども、その分の返還を求めている。


――支払った代金は戻ってくるのか。

 「てるみくらぶ」は既に破産手続きに入っているので、会社の財産から従業員の賃金など優先的に支払うべきものを払った後、残った財産を債権の額に応じて分配することになる。ただ、負債額が大きいので、返金はほとんど期待できないと思われる。


――どこかが補償してくれる制度などはないのか。

 「弁済業務保証金制度」がある。これは日本旅行業協会に加盟している旅行会社が仮に破たんした場合、集めた分担金から旅行者に代金を返金する仕組みだ。返ってくる額は、分担金の5倍が限度となっている。

 今回の「てるみくらぶ」が預けていたお金は2400万円、この5倍の1億2000万円が上限となるわけだが、旅行者が先払いしていた代金が約100億円なので、全員が返金を求めた場合、払った代金の1%余りしか計算上は戻ってこないことになる。

 過去の破たん事例では、この補償金で賄われるケースが多かったが、「てるみくらぶ」の場合は少なくとも3年前から赤字を黒字に見せかける偽装をしていた可能性が指摘されていた。そのため、債務が膨大な金額となり、制度で想定されていた金額をはるかに超えてしまった。

 このため、保証金制度の見直しに加え、旅行会社の経営をより厳しく監視していくための仕組み作りなどが検討されることになっている。


 ――どのような改革が必要なのか。

 ポイントは「厳しい外部の目」。「てるみくらぶ」のようなケースを防ぐには、まずは会社自身のガバナンスを強化することが必要だ。

 例えば、社外取締役や社外監査役など、外部のチェックを受ける仕組み作りが重要となる。

 業界全体で相互監視することも必要だ。例えば、国土交通省の中に「通報窓口」を設けることで、不自然な業務を行っている業者について、情報提供が行われるような仕組みが有効かもしれない。

 何より大切なのが、私たち消費者の厳しい目だ。激安だからといって飛びつくのではなく、注意深くツアーを選んでいくことが大切だ。

 例えば、赤字覚悟で激安商品を売っていないか、クレジットカード会社との取引が制限されている疑いはないか、半年以上先の旅行代金を一括で入金させるなど、不自然な取引条件になっていないか、これらをよく吟味して契約することが大切だろう。