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金正恩氏登場の現場で何が?記者解説

2017年4月13日 18:44

 北朝鮮の平壌で13日、金正恩委員長の肝いりで建設が進んでいた目抜き通りが完成し、金委員長自らが出席して記念式典が行われた。平壌から取材にあたった横島大輔記者が伝える。

 金委員長が式典にいたのは約20分間で、最初はゆっくりと落ち着いた感じでステージに上がり幹部らと笑顔で話す場面もあった。ただその後は左右を何度かうかがう様子もみられ、現場にいたほとんどの時間は険しい表情をしていたという印象を受けた。

 我々、外国メディアは金委員長がいたステージから約120メートルから130メートルの場所に取材位置を設けられ、何十台ものカメラが並んでいた。金委員長は何度か、こちらに視線をうつして外国メディアのカメラを意識している様子もうかがえた。

■13日に金委員長が来ることは知っていたのか?

 13日は全く別の取材スケジュールが組まれていたが、12日夜遅くに当局から連絡があり、13日午前5時に出発でカメラ機材とパスポート以外は何も持って行けない、携帯電話もだめだと伝えられた。ホテルを出発して厳しい安全検査を受けて連れていかれたのが「黎明通り」と呼ばれる金委員長肝いりの開発プロジェクトの現場だった。

 この通りは、主に市民が住む高級マンションが立ち並ぶところで、36棟を修復し、44棟を新たにつくり80棟のマンションなどが並んでいる。中には70階建てのものもある。マンションの下にはスーパーマーケットや映画館も入っている。太陽光など自然エネルギーもとりいれているのが売りだという。

■金委員長が「黎明通り」のオープニング・セレモニーに出席し、外国メディアを招いた狙いとは何なのか?

 15日には北朝鮮で最も重要な記念式典故・金日成主席の105周年の生誕記念式典がある。その直前に、この近代的な通りの完成を宣言することで国内的には、金委員長の求心力を高める狙いがあったと思われる。さらに対外的には、外国メディアにも取材をさせて経済制裁の中でも首都・平壌は、これだけ発展していると国際社会の圧力には屈しない姿勢を誇示する思惑もあったと考えられる。