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米シリア攻撃 トランプ大統領の“思惑”は

2017年4月7日 20:19

 アメリカが初めてシリアのアサド政権に対する軍事攻撃を行った。トランプ政権は、化学兵器による攻撃を行った対抗措置だとして日本時間7日午前、シリア国内の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃した。ワシントンから井上幸昌記者が中継で伝える。

 軍事行動の検討が報じられたその日のうちにトランプ大統領は電撃的にシリア攻撃を決断した。アメリカ軍はシリアのホムス近くの空軍基地を狙い、巡航ミサイル・トマホーク59発を発射したという。ロイター通信はホムスの県知事の話として、複数の死者がいて一般住民にも犠牲が出ていると伝えている。

 また、トランプ大統領はアサド政権が国連で禁止された化学兵器を使用したことは間違いない、「化学兵器の使用を防ぐことはアメリカの安全保障にとって重要だ」と述べ、攻撃の正当性を主張している。

 なぜ、このタイミングだったのか。シリアへの介入をためらってきたオバマ前政権との違いを際立たせたい、そんな思惑も見え隠れする。また、有力紙のニューヨークタイムズは「サプライズ効果を最大限にしようとした」「イランや北朝鮮など敵対する国に対して、自分は行動する用意があるし、時には突然の時もある、とのメッセージを送る狙いがあるのでは」と伝えている。

 一方、ロシアの支援を受けていたアサド政権を攻撃したことから、今後、米露関係が急速に悪化することが懸念される。国防総省によると、ロシアに対しては事前に攻撃の通告をしていたという。ただ、ティラーソン国務長官はシリアの化学兵器について「ロシアも加担しているか、あるいは責任を果たす能力が欠如している」と厳しく批判している。

 過激派組織「イスラム国」の壊滅に向け、ロシアとタッグを組みたいと考えてきたトランプ大統領は、戦略の見直しが必要となっている。