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“苦渋の決断”長嶺駐韓国大使らを帰任へ

2017年4月3日 17:57
“苦渋の決断”長嶺駐韓国大使らを帰任へ

 政府は韓国・釜山市の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことへの対抗措置として今年1月から一時帰国していた長嶺駐韓国大使らを4日、韓国に帰任させることを決めた。

 帰任の判断について、ある外務省幹部は「このタイミングが良かったのか正直分からない」と話していて、慰安婦像が撤去されない中での苦渋の決断だったことをうかがわせている。

 岸田外相は長嶺大使を帰任させる理由として、韓国の大統領選挙の情報収集強化、北朝鮮の核ミサイル問題での日韓の高いレベルの連携、慰安婦像の撤去に向けて、韓国の現政権トップへの直接的な働きかけの必要性の3点を挙げた。

 岸田外相「韓国政府の(慰安婦像)対応というのは、結果に結びつくものではないと思っています。だから直接、考えを伝える必要があると判断をしました」

 岸田外相は記者団から慰安婦像をめぐって韓国への「誤ったメッセージになるのでは」と問われた際、質問を遮るように「全くそんなことはない」「日本の強い意思を伝えるため」と語気を強めて答えた。ただ、大使と大統領代行の面会の日程については、「調整中」と述べるにとどまっている。

 ある外務省幹部は慰安婦像の撤去について、「よいシグナルは一つもない」と話している。一方、与党幹部は、北朝鮮情勢の対応などをめぐり「帰任はギリギリのタイミングだった」と語り、これ以上引き延ばせない状況だったと話している。