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残業減らそう 企業に広がる独自の取り組み

2017年3月28日 18:16
残業減らそう 企業に広がる独自の取り組み

 「働き方改革」の実現に向けた実行計画の最大の焦点は「長時間労働」をどう改善していくのか。残業を減らそうと、企業には独自の取り組みも広がってきている。


■残業しなければ「手当」もらえます

 スーツ専門店「はるやま」を展開する「はるやまホールディングス」では来月から、残業をしないで定時に退社した社員に月額1万5000円を支給する「ノー残業手当」を導入するという。

 では「残業」をどうやって減らしているのか。例えば、店舗に運ばれてくる商品のスーツ。以前は、タグ付け作業を客のいないバックヤードで行っていたが、いまは売り場で行っている。仕分け作業は最も時間のかかる業務なので、少しでも短くするため、売り場で作業するよう変えたという。

 さらに、以前は店舗ごとで作っていたポップだが、「負担が大きい」との声を受け、去年から本社で制作するようになった。これらの取り組みにより、残業時間の平均は月10時間半と3年前と比べて4時間半少なくなった。

 はるやまホールディングス・治山正史社長「(残業が減った事で)一人あたりの売り上げとか、パフォーマンスがどうなっているかというと、実は年々上がっていってるんです。残業しないほうが得をするんですよ。だったら(残業)やらないほうがいいんじゃないかっていう意識付けが少しずつ出るんじゃないかと」


■在宅勤務で会議に参加

 働き方改革をめぐっては、自宅など会社以外の場所で働く「テレワーク」の推進なども注目されている。通勤時間も減り、時間を有効に使える事で労働時間を減らす効果が期待され、取り入れる企業が増えてきている。テレワークを実施している企業を取材した。

 在宅勤務をしているIDCフロンティア・山中敦さんは、ユニークな方法で会議に参加する。

 取り出したのは、スマートフォン。

 山中さん「ロボットを動かして向かいます」

 同じ時刻、遠く離れたオフィスでは、会議に車輪の付いたロボットが。モニターには、山中さんの顔が映っている。このロボットが代わりに、会議に参加するという。通常のテレビ会議と異なり、視線を変える事で、資料や発言者のほうを向くこともできる。

 さらに、社外にいても、ロボットを使った気軽なコミュニケーションが可能で、テレワークの効果を実感しやすいという。


■ガチガチに縛られるのは…

 残業削減に向け、今後、上限を設ける方針の政府。しかし、課題もある。埼玉県加須市にある株式会社マスセイ。ここには、溶かした金属を型に流し込んで作る「鋳物」の工場がある。熟練の技術が必要なため、限られた人数で仕事を回さなくてはいけない。

 忙しい時期でも残業時間は月80時間以内になるようにしているというが、マスセイ・増田清治社長は「これ以上の仕事がきた時に、やらないよという態勢でいいのかと思ってしまう。やっぱりお客さんの求めてるニーズに応えないといけないし、あんまりガチガチに縛られるのは困るかなと」と語る。

 長時間労働を減らす、様々な取り組み。わたしたちの働き方を変える一歩となるのだろうか。