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高齢者“見守り” ごみ出し支援にIoTも

2017年3月24日 19:16
高齢者“見守り” ごみ出し支援にIoTも

 埼玉県所沢市のごみ出しを支援するサービスの利用者が増えていると話題になっている。この支援サービスにどんな狙いがあるのか取材した。


■見守り兼ねてごみ出し支援

 午前中、所沢市の職員がごみの収集に向かっていた。ごみ収集車はマンションの前で停車。3階に利用者がいるという。マンションにはエレベーターがなく、職員は階段で3階へ向かう。

 これは、所沢市がごみを集積所まで運べない高齢者らを対象にした“ごみ出し支援サービス”だ。80代の住民はこう話す。

 「いやあ、3階から下まで(運ぶのは)大変ですよね。すっごく助かってるんです」

 毎週同じ時間に訪問し、会話をしながら収集することで見守りも兼ねている。

 この、ごみ出し支援について、インターネット上では「高齢者にはホント身近な問題」「ごみ出し大変だもんな」「こういう制度、絶対必要」などの反応があった。

 高齢者の見守りサービスにはどんなものがあるのだろうか。


■“IoT”で見守る

 所沢市のごみ出し支援サービスは2005年度から始まった。年々利用者は増え続け、初年度の3倍以上の約560件にのぼり、問い合わせも増えている。職員は、ごみ出し支援サービスを始めたきっかけを「(所沢市で)高齢の1人暮らしの方が多く見受けられるようになったからだと思う」と語る。

 実は今、“見守りサービス”が様々なところに広がっている。神奈川県大和市には、1人暮らしの高齢者を支援する団体と地元の新聞社が提携した見守りサービスがある。前日の新聞が残っていたり不審な点があったりする場合、販売所から団体に連絡。その連絡を受けた身内や不動産店が、素早く見回るという仕組みだ。

 一方、進化した見守り機能もある。去年10月に発売したコーヒーマシンは、コーヒーをいれると、いつ誰がコーヒーを飲んだのかがスマートフォンなどに通知される。この機能を使えば、1人暮らしの高齢者がいつコーヒーを飲んだか、離れて暮らす家族に伝わるようになっている。

 高齢者だけの世帯が増える中で、それぞれの生活や環境にあった見守り機能やサービスが増えている。


■最新技術を活用して見守りを

 こうした見守りサービスが広がっている背景には、1人暮らしの高齢者の増加がある。

 内閣府によると、65歳以上の1人暮らしの高齢者の数は年々増え、2015年には600万人に達したとみられている。高齢者のうち、約5人に1人が1人暮らしということになる。今後もさらに増えていくことが予想されるため、見守りサービスはさらに広がりをみせると考えられる。

 しかし、取材した新聞販売所によると、遠方の家族は配達時に見守りを求める一方で、サービスを受ける利用者の中には、見守りは監視されているようで嫌がる人もいるということだ。どこまでプライバシーに踏み込んでサービスをするかという面では難しさもある。

 人に監視されるのが嫌な人にはインターネットが有効かもしれない。パソコンの操作はできなくても、最近ではウエアラブル端末で健康管理する仕組みも発達している。今後、そういった新技術が見守りサービスにどう活用されるのか注目したい。