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自殺による損失額 減少も…女性は“増加”

2017年3月23日 20:18

 自殺による経済損失額の推計結果が公表され、自殺対策基本法の施行後、損失額が減少したことが分かった。一方で、女性の自殺者による損失額が増加した地域があることが新たに明らかになった。

 調査は、自殺総合対策推進センターの本橋豊センター長らのチームが実施し、仮に自殺せず正規労働者として働いた場合の生涯所得の損失額を推計し自殺者の数を掛け合わせて、自殺による社会経済的損失額を推計したもの。

 自殺対策基本法が施行される1年前の2005年には、5587億円の損失があったところ、2015年は、損失額が4594億円となり約1000億円の減少となった。自殺対策基本法が施行され、地域の自殺対策が充実し自殺者数が減少したことで自殺による経済的損失額も減少したとみられる。

 また、今回の調査では、初めて都道府県別の推計値が公表された。男性の自殺者の損失額をみるとほとんどの都道府県で減少している一方で、女性の自殺者の損失額は、神奈川県で約14億円増加、栃木県と大阪府で6億円増加するなど多くの地域で10年前に比べ損失額が増加したという。

 本橋センター長は、女性の賃金が上昇していることもあるが、今後、女性の自殺対策のさらなる充実が必要と話した。