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任期延長“ポスト安倍”狙う2人は? 解説

2017年3月7日 18:16
任期延長“ポスト安倍”狙う2人は? 解説

 自民党は安倍首相が最長で4年半先まで続投することに道を開く党総裁任期の延長を正式決定した。長期政権に向け、足場を固める安倍首相に戦いを挑むのは誰なのか、日本テレビ政治部・矢岡亮一郎記者が解説する。


――自民党のルールが変わって、安倍首相は最長2021年までの超長期政権が可能になった。ポスト安倍を狙う石破氏や岸田外相は複雑な心境なのでは?

 6日、石破氏に直接話を聞いてきた。石破氏は「1年後のことは誰にも分からない」と話していた。くしくも、岸田外相も5日に、「来年、再来年何が起こるか分からない」と同じことを言っている。

 近くで取材していて、2人とも首相の座を虎視眈々と狙っているな、と感じる。その一方でこの2人は、非常に対照的な戦略を描いている。


――対照的というと?

 まず、石破氏は去年の夏、大きな決断をした。閣僚ポストを辞退して、安倍首相から距離を置いた。その後、「異論がない自民党は不健全」と安倍政権に注文をつける場面も増えている。安倍首相との対立軸を際立たせながら、ポスト安倍を狙う戦略だ。

 一方で岸田外相は、4年あまり外務大臣を続けて、安倍首相を一貫して支えている。私の取材に対して、「安倍首相と政治的立場は違う」としながら、「いまは政権内で結果を出すことに専念する」と話している。

 独自の主張は抑えつつ、勝負のタイミングを待つ戦略だ。いわば2人は「ポスト安倍」という山に登るアプローチが違うわけだ。


――でも石破氏は、勢いのある安倍政権に注文をつけてばかりで大丈夫なんですか。

 現状、自民党内で石破氏への支持は広がっていない。ただ、本人は「空気が変わる時は、ガラッと変わる」と迷いがない。


――一方で岸田外相は、待っていて首相になれるのか。

 なかなか難しいと思われる。安倍首相周辺は「岸田氏を後継指名することはありえない」と話しているし、岸田氏も「そんなに甘くない」と自覚している。要は、総裁選に出て勝つしかない、というわけだ。

 石破氏、岸田外相ともに来年の総裁選では61歳だが、安倍首相が大本命と見られている。その次となると64歳。一方で小泉進次郎氏は40歳。若手世代が台頭してくる可能性もある。小泉氏は、世論の支持をバックに長い目で首相を狙う戦略だ。

 “ポスト安倍”候補、それぞれの戦略で次の時代を模索している。