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シリア“廃虚の町”で生きる子どもたち

2017年3月4日 0:12

 6年前に始まった中東シリアの内戦。最大の激戦地アレッポに私たちのカメラが入った。そこにあったのは、破壊しつくされた街。そして、懸命に生きる人々の姿だった。

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 シリア内戦の最大の激戦地アレッポ。去年12月に政権軍が制圧したばかりの街だ。

 どうすればここまで街全体を破壊できるのかと思うくらい、360度、破壊された建物、ガレキ、廃虚といった光景が広がり、原形をとどめた建物は1つもない。街一帯はガレキの山と化していた。

 内戦前に撮影された映像と比較すると、にぎやかだった市場は今はガレキだらけとなり、人々の憩いの場だった噴水は、色彩を失い、枯れ果てていた。

 2011年に始まったシリアの内戦。当初、アサド政権と反体制派による戦いだった内戦は、ロシアやアメリカ、そして過激派組織「イスラム国」が入り乱れ、激しさを増した。繰り返し行われた空爆や銃撃戦では、数十万人がなくなった。

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 6年たっても終わらない内戦。

 4年半前、取材中にジャーナリストの山本美香さん(当時45)が命を落としたのも、このアレッポだった。政権側とみられる集団によって銃撃されたのだ。

 その場所を訪れてみると、風景は色あせて見えた。

 美香さんが心を寄せて取材してきたのは、女性や子供たち。今回の取材でも、ガレキの中で懸命に生きる子供たちの笑顔が多く見られた。

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 先月、再開したばかりの小学校。水道も電気も通じておらず、もちろん、教科書もそろっていない。それでも、授業を受ける子供たちの表情は笑顔だった。

 「ずっと家で、学校が始まってほしいと思っていたから、とてもうれしいです」
 「勉強と理科が大好きです」

 子供たちに、将来の夢を聞いてみた。

 「軍の士官になりたい。国を守るために」
 「お医者さんになりたい。ケガした人を治療するの」
 「私も」
 「私も」

 ほとんどの子供が「医師」になりたいと答えた。内戦で数えきれないほどの傷ついた人たちを見てきたせいだろうか。わずかながらも街で見られた再建への動き。シリアの人々に平和な日々が訪れるのはいつになるのだろうか。