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【自転車ナビマーク】は安全?危険?

2017年3月3日 18:44
【自転車ナビマーク】は安全?危険?

 「自転車ナビマーク」自転車事故を減らそうと始まった道路標示をめぐって「かえって危険では?」という声が上がっている。一体どういうことなのか取材した。


■自転車ナビマーク 賛否両論

 千葉・市川市、京成八幡駅前。自転車であふれかえった光景についた通称は“北京通り”。この“北京通り”の歩行者からは「後ろからぶつかられました。自転車に」「危ないかなと思います」という声が聞かれた。

 自転車の事故を防ぐため、警視庁と東京都などは、車道に自転車が走る場所や方向を示す「自転車ナビマーク」の整備をすすめている。

 これについてネットからは「危ない自転車の運転が減るだろう」「事故りそうで怖い」「どう頑張ってもひかれる位置なんだけど」という声が聞かれた。ツイッター上でも、1週間で203件のツイート数があった。


■「自転車ナビマーク」で交通事故を減らせるのか

 自転車ナビマークには、2つの狙いがある。1つは、自転車が歩行者を巻き込む事故を防ぐため、本来の通行場所である車道を走るよう促すこと。もう1つは、自転車が車と同じ進行方向で走る左側通行を促すものだ。実は、車の進行方向と、逆に走ることは危険なのだ。

 あるドライブレコーダーの映像。交差点を曲がると突然、前の車の陰から自転車が突っ込んできた。車と逆方向を自転車が走ると、お互いに気づきにくく危険だという。しかし、車道の左側を走るのは、心配という声もある。

 車と近い距離で自転車をこぐ男性。さらに、ナビマークの上を走っている方がいるが、すぐその後ろに大型バスも走っている。かなり車に接近しているように見える。ある自転車の利用者からは「これだけ交通量が多いとちょっと車道走ると怖いかもしれない」という声も聞かれた。


■自転車にカメラをつけて走ってみた

 自転車に乗る人からは、どう車が見えるのか。スタッフにカメラをつけて車道を走ってみた。スタッフの自転車の後ろには、車線を変更しようとする一台のワゴン車が。そのまま自転車に接近し、近い距離で自転車を追い抜いていった。自転車の目線カメラをみると、突然、視界にワゴン車が入り追い抜いていったことがわかる。

 さらに、路上に車が停車しているため、ナビマークの上を走れない事態もある。後方確認をして、前に進もうとするが、交通量が多いため、なかなか前に進めない。約1分後、ようやく車道側に出て進むことができた。


■自転車ナビマークの効果は?

 専門家は「自転車ナビマーク」の存在をドライバーも理解することが重要だと話す。

 自転車活用推進研究会・内海潤事務局長「(ナビマークを整備することで)自転車は車道を走るんだってことを広く多くの方々に認識してもらうと、ドライバーさんも車強いですから、自転車を守る立場としてスピードを落とすとかやっていかないと」

 国土交通省などによると、自転車の利用者の約5割が、ナビマークによって「危険に感じることが減った」と答えたという。

 ある自転車の利用者からは「車も(自転車を)意識して走ることができるので、走りやすくなった」という声が聞かれた。警視庁は、2020年の東京オリンピック、パラリンピックまでに都内全域に広げたい方針だということだ。


■「自転車ナビマーク」は法律上どうなっている?

 「自転車ナビマーク」は、法律上定めたものではないため、ここを走行しなかったとしても、罰せられることはない。

 一方で、青色などで塗られた「自転車専用通行帯」。これは法律で定められたものなので例外はあるが、自転車がこの通行帯以外を走ることはできない。さらに、自動車がこの通行帯を走った場合も法律違反となり、罰則が明記されている。

 この「自転車専用通行帯」は、全国共通のルールだが、「自転車ナビマーク」は、東京のみで使われていて、全国には様々な呼び名やデザインのものがあり統一されていない。そこで、国土交通省や警察庁は、去年、新たな統一マークを作り、今後このマークを全国に広げていきたいとしている。